• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「粉もん」の倒産が過去15年間で最多ペース ~人件費と物価高が直撃し、庶民の味が揺らぐ~

 真夏に各地で催される祭りで定番のお好み焼き・焼きそば・たこ焼きが転換期を迎えている。2025年1-7月のお好み焼き屋・焼きそば屋・たこ焼き屋の「粉もん」倒産が17件(前年同期比30.7%増)に達した。2011年以降の15年間の1-7月では最も多く、年間でも2020年を抜いて、過去最多を更新する可能性が出てきた。
 都道府県別では、「粉もん」がソウルフードの大阪が6件(構成比35.2%)で最多だった。インバウンド客や大阪万博で客足は好調だが、店舗数の多さが競争激化を招き、さらに経営体力の乏しい小・零細規模の「粉もん」屋に物価高や人件費上昇などの環境悪化が押し寄せ、大きな打撃を与えているようだ。

 コロナ禍を経て、インバウンド客や旅行客が粉もんに舌鼓を打つ機会も増えている。農林水産省の「食品価格動向調査(加工食品)」の調査結果によると、小麦粉・油・ソースなどが主要食材の平均価格は年々高騰。人件費、光熱費などの値上がりで苦境に直面している。
 お好み焼き屋・焼きそば屋・たこ焼き屋の倒産は、負債1億円未満の小・零細規模の店舗が76.4%と8割近くを占めている。こうした規模では、値上げが来店客数の減少に直結しかねず、価格転嫁は容易でない。また、インバウンド需要を取り込む味や魅力の開発、店舗改装に加え、SNS発信などのノウハウも乏しく、業績低迷から抜け出せないまま行き詰まるケースが多い。
 物価高が続くなか、「お好み焼き屋・焼きそば屋・たこ焼屋」の倒産が、秋の観光シーズンを前に増勢をたどっている。
※本調査は、日本産業分類の「お好み焼き・焼きそば・たこ焼店」の2025年1-7月の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。



お好み焼き屋・焼きそば屋・たこ焼き屋の倒産が過去最多ペース

 2025年1-7月のお好み焼き屋・焼きそば屋・たこ焼き屋の倒産は17件(前年同期比30.7%増)で、前年同期の1.3倍のペースで推移している。業態別では、お好み焼き屋が14件で8割(82.3%)を占める。たこ焼き屋は2件、焼きそば屋は1件で、お好み焼き屋が突出している。
 原因別は、最多が「販売不振」の13件(前年同期比8.3%増)で、全体の76.4%を占めた。次いで、「他社倒産の余波」が2件(前年同期ゼロ)、「事業上の失敗」(同1件)と「設備投資過大」(同ゼロ)が各1件だった。
 庶民の味、ソウルフードとして親しまれる「粉もん」だが、それだけに値上げによる価格設定が難しく、円安を背景にした物価高と人手不足で逆風が強まっている。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

3

  • TSRデータインサイト

米穀卸、令和のコメ騒動で25年度の業績急伸 ~ 26年度はコメ価格下落で暗転へ ~

コメ価格の急騰や品不足で市場が混乱した「令和のコメ騒動」が過ぎ去った。コメを供給してきた米穀(米麦)卸売業は4期前と比べて売上高が約2倍、利益(最終利益)は4.5倍と、業績が急拡大したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。

4

  • TSRデータインサイト

「お弁当屋さん」の倒産、2年連続で過去最多へ ~ コメ価格下落と消費税引き下げもコスト高 ~

「お弁当屋さん」の倒産が急増している。2026年は8月までに83件に達し、これまで最多の2025年(1-12月)の89件超えが確実だ。コメ価格下落の兆しがみえ、食品の消費税率引き下げも控える。だが、肉や野菜などの食材や包装資材、電気・ガス料金の値上がり幅は大きく、経営の重しとなっている

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

TOPへ