• TSRデータインサイト

5月の「円安」倒産は今年最少の3件 件数は低水準も、35カ月連続で発生

2025年5月 「円安」関連倒産(5月31日現在)


 2025年5月の「円安」関連倒産は3件(前年同月比75.0%減)で、1月、3月と並び今年最少だったが、2022年7月から35カ月連続で発生した。
 負債総額は92億7,000万円(同37.9%増)で、3カ月ぶりに50億円を超えた。負債10億円以上は1件(前年同月2件)にとどまったが、(株)ロイヤル(愛知)が負債83億3,000万円を抱えて民事再生法の適用を申請したことで負債が膨らんだ。為替が乱高下を繰り返し、物価安定の兆しはまだまだ見えてこない。

 5月の「円安」倒産は、製造業、卸売業、小売業で各1件発生した。ドル・円レートは、1ドル=142円から147円の間で推移し、輸入財の価格安定には至っていない。
 こうしたなか、実質賃金は年度ベースで3年連続で前年を下回り、米価をはじめとした食料品、電気・ガスなど、様々な物価上昇も歯止めが掛からず、消費者心理に影響を与えつつある。
 現状、円安に伴う輸入コスト上昇分の価格転嫁は容易ではなく、中小企業の価格設定にも影響を及ぼしている。為替相場は、トランプ米大統領の発言一つで大きく変動し、まだ安定する気配はうかがえないだけに、円安を一因とした倒産はしばらく発生が続くとみられる。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

3

  • TSRデータインサイト

チャプター11をめぐる冒険 ~ なぜマレリはアメリカ倒産法を利用したのか ~

ずっと日本にいるのに時差ボケが続いている。  「マレリのチャプター11が近いから関連サイトをチェックし続けろ」と6月6日に先輩に言われて以降、私の生活はアメリカ時間だ。

4

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

5

  • TSRデータインサイト

定量×定性分析 危ない会社は増えたのか?

2024年度の全国倒産が1万144件(前年度比12.0%増)と11年ぶりに1万件を超えたが、企業の倒産リスクはどの水準にあるのか。東京商工リサーチが企業を評価する「評点」と「リスクスコア」のマトリクスからみてみた。

TOPへ