• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

大型連休は「博物館・美術館」がオススメ? ~ 物価高でも魅力的な入館料が追い風、業績も回復 ~

 コロナ禍で打撃を受けた博物館・美術館が物価高のなかで健闘している。体験型やデジタル対応など新しい取り組みや、比較的安価な入館料で集客力を高めている。博物館・美術館を運営する143社の2024年(1-12月に迎えた本決算)業績は、売上高(経常収益)が前年比4%増、最終利益(当期一般正味財産増減額)が同4.5倍と好調だ。
 博物館・美術館は公益財団法人が運営を担っていることが多く、社会貢献の観点から赤字も珍しくない。さらに近年は光熱費などの物価高が重くのしかかる。だが、入館者のニーズを分析し、インバウンド向けに多言語対応するなどの経営努力で業績は回復している。
 テーマパークなど娯楽施設の入場料や利用料が高騰しているが、物価高でも入館料を抑えた博物館・美術館は大型連休(GW)に人気を集めそうだ。

経費上昇と経営努力

 博物館・美術館は、コロナ禍が直撃した。文部科学省「令和3年度社会教育統計」によると、1施設当たりの利用者数は「博物館」は2017年度間は11万6,131人だったが、2020年度間は5万2,611人と半減した。
 独立行政法人国立科学博物館(TSRコード:294984275)の光熱費は、2021年と比べて2023年は約2倍に高騰。2023年8月に1億円を目標にしたクラウドファンディングを実施した。約5万7,000人から約9億2,000万円が集まり、大きな話題となった。
 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約400万社)で、日本標準産業分類「博物館・美術館」を主業種とする企業のうち、2024年1-12月期を最新期として3期連続で売上高と利益を比較できる143社を抽出し、分析した。
 公益財団法人などの非営利団体が多く単純比較は難しいが、2024年の売上高合計は762億1,200万円(前年比4.4%増)、利益は65億4,600万円(同353.0%増)と回復している。2022年は赤字が78社(構成比54.5%)と半数を超えたが、2024年は62社(同43.3%)と11.2ポイント回復した。
 若干の値上げやインバウンド向け多言語対応に加え、趣向を凝らしたイベントなどで巻き返している。

博物館・美術館の業績 年次推移



 テーマパークなどの娯楽施設は大幅な値上げが相次ぎ、ガソリン代なども高騰しており節約志向も高まっている。今年のGWは飛び石連休だが、値ごろ感ある博物館・美術館が注目されるかもしれない。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年4月28日号掲載「取材の周辺」を再編集)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ