• TSRデータインサイト

運送業の利益鈍化、価格転嫁に課題 2024年は増収が5割、黒字は約8割

~ 2024年「一般貨物、貨物軽自動車運送業」の業績動向調査 ~

 人手不足や原油高、時間外労働の上限規制などで、道路貨物運送業の経営環境は厳しさが続いている。全国の道路貨物運送業7,894社の2024年の業績は、売上高は14兆1,396億円(前期比2.2%増)、利益は3,493億円(同2.0%減)と増収減益だった。中小・零細企業が多い業界で、売上高5億円未満が約6割を占め、コストアップに晒されて利益率は2.4%にとどまる。

 東京商工リサーチ(TSR)は、全国の一般貨物、貨物軽自動車運送業7,894社を対象に、2024年の業績を調査した。売上高100億円以上は204社で全体の2.5%にとどまる一方、5億円未満は4,588社で約6割(構成比58.1%)を占めた。売上が伸びた増収は4,033社(同51.0%)と半数にとどまったが、利益は全体の8割(同80.4%)の 6,348社が黒字を確保した。2024年の倒産は364社、休廃業・解散は574社で、合計938件(前期比28.3%増)にのぼり、過去10年間で最多を更新した。
 物流危機が懸念された2024年4月の「2024年問題」から約1年が経過した。時間外労働の上限規制で長時間労働の見直しが進むが、ドライバー不足はより深刻化している。燃料費や人件費の高騰でコスト上昇が続くなか、荷主との適切な価格交渉や業務効率化、人材確保など、今後の課題が山積している。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、日本産業分類(細分類)の(一般貨物自動車運送業、貨物軽自動車運送業)を対象に、2024年の業績(2023年12月~2024年11月期)を最新期とし、5期連続で業績が判明した7,894社を抽出、分析した。



売上増でも利益は鈍化

 道路貨物運送業7,894社の売上高は、14兆1,396億円(前期比2.2%増)と増収だったが、最終利益は3,493億円(同2.0%減)と減益に転じた。
 コロナ禍で売上高が落ち込んだが、その後は売上高、利益ともに一進一退が続いている。2024年は、売上高は伸長したが、利益は減少し、利益率は2.4%にとどまった。

「一般貨物、貨物軽自動車運送業」の業績推移


従業員数別 50人未満が約7割

 従業員数別は、10人以上50人未満が最多の4,124社(構成比52.2%)。次いで、50人以上100人未満が1,244社(同15.7%)、100人以上の1,152社(同14.5%)と続く。
 労働集約型の産業では、他業種よりも人手が多く必要になる。従業員数10人未満は1,363社(同17.2%)にとどまった。

休廃業・解散、倒産 過去10年で最多

 2024年の一般貨物、貨物軽自動車運送業の休廃業・解散は574件、倒産は364件で、合計938件(前期比28.3%増)にのぼり、過去10年間で最多だった。2024年は、原油高などの物価高を原因とする倒産が131件(構成比35.9%)発生した。燃料費や人件費などの上昇により、十分な価格転嫁を進められないまま収益が悪化し、倒産するケースが目立った。


一般貨物、貨物軽自動車運送業 休廃業・解散、倒産社数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「円安」、企業の40.7%が「経営にマイナス」 望ましい為替レートは、「1ドル=136.8円」

東京商工リサーチは6月1日~8日、円安に関するアンケート調査を実施した。その結果、望ましい為替レートは、平均値「1ドル=136.8円」、中央値「1ドル=140.0円」で、現状の「1ドル=160円前後」とは、約20円の乖離があることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

「ナフサ供給」 支障がある85.0% 製造業で40.4%が在庫積み増しに動く

ナフサやシンナーなど石油化学製品基礎原料の供給不安が広がっているが、在庫を積み増した企業は30.7%(5,707社中、1,757社)で、製造業では40.4%(1,600社中、647社)に達したことがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

α・Z世代から大人まで巻き込み、「ぬい活」業界が好調 ~ 売上高は成長路線に、利益は4年前から倍増 ~

「ぬい活」の勢いが止まらない。 「おもちゃ」という枠を超え、1990年代中盤以降生まれの「α・Z世代」から大人まで活動に勤(いそ)しみ、ぬいぐるみ業界は特需に沸いている。 東京商工リサーチの企業データベースからぬいぐるみの販売やサービスなどを主な事業とする34社の業績を抽出した。

4

  • TSRデータインサイト

【第2回中東情勢アンケート調査】「マイナスの影響」 企業の80.6%に広がる 原油、ナフサなどの高騰、品薄に懸念強まる

米国とイスラエルのイラン攻撃による混迷が、世界経済に深刻な影響を及ぼしている。東京商工リサーチは6月1日~8日、2回目の「中東情勢」が企業の事業活動に与える影響をアンケート調査した。 「マイナスの影響がある」と回答した企業は80.6%(7,614社中、6,142社)で、8割を超えた。

5

  • TSRデータインサイト

【債権者集会詳細】船井電機の管財人、元代表への損害賠償請求を公表

破産手続き中の船井電機(株)の第3回債権者集会が6月10日15時過ぎから東京地裁で開かれた。 破産管財人側は、6月4日に大阪地裁に元代表を被告とした2億460万円及び遅延損害金の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起したことを公表した。

TOPへ