• TSRデータインサイト

2025年1月の「負債1,000万円未満」倒産 38件 2カ月連続で30件台も、年度は4年ぶりに500件超す見込み

2025年1月「負債1,000万円未満」倒産状況


 2025年1月の負債1,000万円未満の倒産は38件(前年同月比20.8%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。また、2カ月連続で30件台にとどまった。
 ただ、2024年度は4月-1月の10カ月累計が451件(前年同期比6.6%増)に達し、年度では2年連続で前年度を上回る可能性が高い。物価高、人件費などのコスト上昇が小・零細企業を苦境に追い込んでいる。

 産業別では、最多がサービス業他の15件(前年同月比34.7%減)で、全体の39.4%を占めた。以下、建設業7件(同±0.0%)、卸売業5件(同25.0%増)の順。
 形態別は、破産が37件(同22.9%減)、特別清算が1件(前年同月ゼロ)で、すべて清算型だった。
 原因別は、最多は「販売不振」の28件(前年同月比15.1%減)で、全体の73.6%を占めた。
 資本金別は、1千万円未満が33件(同23.2%減)で、構成比は86.8%だった。

 負債1,000万円未満の倒産は、年度では4年ぶりに500件超えがほぼ確実だ。また、東京商工リサーチ(TSR)が1月に発表した2024年「休廃業・解散」は6万2,695件(前年比25.9%増)に急増した。コロナ禍を経て事業継続を断念する企業が増え、倒産だけでなく市場から退出する企業は増勢を強めている。
 日本銀行が1月24日、政策金利の0.5%程度への引き上げを決定した。「金利ある世界」に再び戻り、業績回復が遅れた企業は金利負担にじわりと体力を消耗させられる。負債1,000万円未満の倒産は大半が小・零細企業だけに、経営改革や事業見直しに外部機関のサポートが欠かせない。
※本調査は、2025年1月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

2

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均1ドル=141.6円 前期比1.9円円高を想定、4期ぶり円安にブレーキ

主な株式上場メーカー98社の2025年度決算(2026年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=140円が48社(構成比48.9%)と約5割にのぼった。平均値は1ドル=141.6円で、前期に比べ1.9円の円高となった。

3

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

日産自動車の役員報酬1億円以上開示は5人 内田前社長の報酬額は3億9,000万円

 経営再建中の日産自動車が、2025年3月期決算の有価証券報告書を提出した。報酬額1億円以上の個別開示の人数は5人で、前年と同数だった。

5

  • TSRデータインサイト

2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分

2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、189件(前年比8.0%増)で、漏えいした個人情報は1,586万5,611人分(同61.2%減)だった。 事故件数は調査を開始した2012年以降、2021年から4年連続で最多を更新した。

TOPへ