• TSRデータインサイト

10月末1ドル=151.97円 「円安」関連倒産は5件 10月は4カ月ぶり減少、1-10月は1.4倍増の66件

2024年10月 「円安」関連倒産(10月31日現在)


 円高に転じていたドル・円相場は、2カ月ぶりに1ドル=150円超の円安に振れ、円相場は乱高下を繰り返している。2024年10月の「円安」関連倒産は5件(前年同月比16.6%減)発生し、4カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、1-10月は累計66件(前年同期比43.4%増)に達し、前年同期の1.4倍に増加している。
 10月の負債総額は9億6,600万円(前年同期比78.4%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。

 10月の「円安」関連倒産5件の産業別では、卸売業(前年同月4件)と小売業(同1件)が各2件、建設業が1件(同ゼロ)だった。ドル円が円高に振れても、一時期の急激な円安による為替差損の発生、資材高、仕入価格の上昇は収束がみえず資金繰りが悪化した。
 政府・日銀の為替介入、政策金利の引き上げ決定以降、1ドル=140円台まで円高が進んだが、10月は8月以来、2カ月ぶりに1ドル=150円台の円安に戻した。
 物価高に加え、人件費の上昇、貸出金利の上昇など企業のコスト負担は増している。そのため、コロナ禍からの業績回復が遅れた中小企業を中心に、為替に振り回され収益が悪化した企業倒産はしばらく増勢をたどる可能性が高い。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

私立大学の経営、売上トップは(学)順天堂 赤字企業率5割に迫る、損益は地域格差が鮮明に

私立大学を経営する全国の543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だった。赤字企業率は46.5%にのぼり、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇し、5割に迫った。

2

  • TSRデータインサイト

企業倒産、破産の割合が9割超で過去最大 ~ 背景に「手形減少」と「準則型私的整理」 ~

企業倒産のうち、破産の構成比が90.3%に達し、過去最大を記録した。民事再生法はわずか2.2%にとどまる。破産は、売上不振や財務内容が悪化し、再建が見通せない企業が選択する。なぜ今、破産の構成比が高まっているのか――。

3

  • TSRデータインサイト

2025年上半期 20床以上の病院倒産が急増 「病院・クリニック」倒産21件、5年連続で前年同期を上回る

病床20床以上の病院の経営が厳しさを増している。2025年上半期(1-6月)の病院・クリニックの倒産は21件(前年同期比16.6%増)だった。上半期では、コロナ禍の2020年を底に、2021年から5年連続で前年同期を上回り、1989年以降で最多の2009年同期の26件に次ぐ、2番目となった。

4

  • TSRデータインサイト

リフォーム・塗装工事の倒産が急増 ~ 点検商法などのトラブル多発 ~

リフォーム・塗装工事の倒産が急増している。2025年上半期(1-6月)の倒産は119件に達し、過去20年で最多だったリーマン・ショック後の2009年同期の111件を上回った。

5

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 止まらない客室単価の値上げ インバウンド需要で高稼働・高単価が続く

インバウンド(訪日旅行客)需要に支えられ、ホテル業界は好調が続いている。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2025年3月期の客室単価は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に前年同期を上回り、稼働率も前年同期並で高水準を維持している。

TOPへ