• TSRデータインサイト

2024年4月の「円安」関連倒産 1件発生 発生は22カ月連続、円安の影響はさらに長引く可能性も

【4月速報】 「円安」関連倒産(4月30日現在)


 2024年4月の「円安」関連倒産は1件(前年同月比66.6%減)発生した。件数は、3カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2022年7月から22カ月連続で発生している。
 3月19日、日本銀行はマイナス金利解除を決定したが、じりじりと円安が進み、4月29日の午前中に、一瞬34年ぶりに1ドル=160円台に乗せた。1ドル=160円台に乗せた後に乱高下したが、5月1日午後2時現在も157円台後半で推移している。

 2024年4月の「円安」関連倒産は、のれんやインテリアマット、クッションなど布雑貨販売を手掛けていたGFプランニング(株)(東京都・負債1億171万円)が倒産した。同社は、急激な円安進行で中国からの仕入コストが大幅に上昇し、経営環境の悪化から事業継続を断念した。
 長引く円安で原材料価格のさらなる上昇が見込まれる。特に、仕入値の上昇分を価格への転嫁が難しい中小・零細企業ほど、資金繰りに大きな影響を受けやすい。
 経済活動が平時に戻り、過剰債務を抱えた企業は新たな資金調達が難しい状況が強まっている。こうしたなかで売上拡大に伴う仕入増、人員増などが、資金繰り悪化に拍車を掛けるパターンに陥り、倒産の増加を招く下地が出来つつある。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「美容室」倒産が急増 1‐4月は最多の46件 人件費や美容資材の価格上昇が経営を直撃

コロナ禍を抜けたが、美容室の倒産が急増している。2024年1-4月「美容室」倒産は、累計46件(前年同期比48.3%増)に達した。同期間の比較では、2015年以降の10年間で、2018年と2019年の32件を抜いて最多を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

4

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

5

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

TOPへ