民事再生のパチンコ大手、(株)ガイアの信用調査報告書を読み解く
民事再生を申請する2年以上前の2021年9月に作成された信用調査報告書の「資金調達状況」には、「関連会社への多大な貸付金、赤字補填などにより、借入金は多大なものと思料」、「金融機関及びリース会社などにリスケ要請を行った模様」と記載され、資金繰りが平時の状況にはないことを伺わせている。また、「リスケ期限が2021年12月」と断定的な記載もある。リスケについて、当事者からの明言はないものの側面取材により得た情報から、「有事の資金繰り」を伺わせる書きぶりだ。
民事再生直前の今年10月13日のTSR情報全国版(信用情報誌)には、ガイアの1回目の資金ショートを伝える記事を掲載した。大規模に事業を展開する企業は決済不調に陥る前に準則型私的整理やスポンサーによる抜本支援、法的手続きなどを選択する傾向にあるため、この情報は関係先に驚きをもって受け止められた。 債権者の立場では、最悪の事態を想定して想定焦付額の算定が必要になる。それには、ガイアとともに法的申請が予想される関係会社の推定が不可欠だ。
今年10月18日に作成された信用調査報告書にはガイアが貸付金を拠出している先として、(株)MG建設(TSR企業コード:024468304)や(株)ガイア・ビルド(TSR企業コード:296262234)など複数が記載されている。最終的にこれらの企業はガイアと同時に民事再生を申請した。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年11月1日号掲載予定「破綻企業の信用調査報告書」を再編集)