• TSRデータインサイト

8月の「円安」関連倒産 3件 14カ月ぶりに前年同月を下回る

~ 【8月速報】 「為替」関連倒産(8月31日現在) ~


 2023年8月の「円安」関連倒産は3件(前年同月5件)で、2022年6月以来、14カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、2022年7月から14カ月連続で「円安」関連倒産は発生しており、依然として円安の影響は続いている。2023年の1-7月累計は34件。

 2023年8月の「円安」関連倒産は、小売業2件、製造業1件だった。円安で輸入原材料の価格が高騰し、生産コストや販売価格の上昇を吸収できず資金繰りに行き詰まるケースが増えている。
 ドル/円は2023年8月17日に1ドル=146円56銭をつけ、2022年11月の1ドル=148円82銭以来、9カ月ぶりに円が下落し、9月も1ドル=146円台で推移している。
 原材料や資材だけでなく、食品やガス、電気などの光熱費も上昇している。コロナ禍から業績回復が進まず、経営体力がぜい弱な中小・零細企業ほど価格転嫁が難しく、コスト負担が経営に重く圧し掛かっている。
 現状、実質賃金のマイナスが続くなか、円安による物価上昇が進むと、個人消費の停滞を招きかねず、企業業績の悪化から倒産の増加に拍車をかける可能性もある。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ