• TSRデータインサイト

5月の「円安」関連倒産 8件 1-5月累計で前年1年間に匹敵

 ~ 【5月速報】 「為替」関連倒産(5月31日現在) ~


 5月26日の東京外国為替市場は2022年11月22日以来、半年ぶりに1ドル=140円台に円が下落した。その後も140円前後で膠着状態が続いている。2023年5月の「円安」関連倒産は、8件(前年同月ゼロ)発生した。5月では2014年以降の10年間で、2014年(22件)、2016年(11件)に次いで、3番目に多い水準となった。
 また、「円安」関連倒産は2023年1-5月累計で23件に達し、2022年(1-12月)の1年間の24件にほぼ並び、円安の影響がジワリと広がっている。


 2023年5月の「円安」関連倒産は、卸売業4件、小売業2件、製造業とサービ業他が各1件発生した。円安による原材料や燃料費の価格上昇に加え、様々な仕入コストの上昇分を価格転嫁できず、資金繰りに行き詰まるケースが増えている。
 原材料や資材だけでなく、食料品、電気代など幅広い分野で値上げが続いている。このため、価格転嫁をスムーズに出来ない企業ほど売上が伸びる分だけ仕入コストが増大し、収益が悪化する悪循環に陥っている。コロナ禍の業績低迷から回復が遅れ、価格転嫁が難しい中小・零細企業を中心に、円安が引き金になり倒産を押し上げる懸念が強まっている。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ