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上半期の不動産売却は46社、年間100社ペース~2022年度上半期「上場企業 不動産売却」調査~

 2022年度上半期(4-9月)に東京証券取引所に株式上場する企業のうち、国内不動産の売却を開示したのは46社(前年同期36社)だった。従来、東証1部・2部上場を対象にしていたが、東証の市場再編に伴い集計基準を変更したため、単純比較はできないものの、前年同期の開示社数を10社上回った。不動産売却は下半期に増加する傾向があり、年度では15年ぶりに100社を超える可能性も出てきた。

 譲渡差益の公表総額は546億6,500万円(前年同期1,721億2,800万円)で、開示企業の82.6%(46社中、38社)が譲渡益を計上した。前年同期の97.0%からは14.4ポイント低下した。
 46社のうち、直近の本決算で最終赤字は18社(構成比39.1%)で、約4割を占めた。コロナ禍の影響が大きい小売業やサービス業などが中心で、財務体質の強化や有利子負債の圧縮などを理由に不動産売却を実施している。
 主な売却事例では、6月に日本紙パルプ商事(プライム)が「経営資源の有効活用および資産効率の向上のため」に本社が入居するフォアフロントタワー(信託受益権)などを譲渡し、2023年3月期決算で譲渡益約166億円を計上する見込みとなっている。
 2022年度下半期は、すでに西武ホールディングス(プライム)の連結子会社である西武鉄道が譲渡益82億円の不動産売却を決定している。このほか、売却時期は未定だが、味の素(プライム)も帳簿価額69億円の固定資産の譲渡手続きを開始している。
 コロナ禍以降、手元資金を厚くする企業の動きが続いている。こうした状況を背景に、不動産市場の活性化は今後も継続する可能性が高い。

  • 本調査は、東証プライム、スタンダード、グロース上場企業(不動産投資法人等を除く)を対象に、2022年度上半期(2022年4月~9月)に国内不動産(固定資産)の売却を開示した企業を集計、分析した(契約日基準、各譲渡価額・譲渡損益は見込み額を含む)。
  • 東証の上場企業に固定資産売却の適時開示が義務付けられているのは、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産額の30%に相当する額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益、または当期純利益の30%に相当する額以上のいずれかに該当する場合とされている。
  • 東証の市場再編により集計基準を変更したため、2021年度以前(東証1部・2部企業を対象)のデータはすべて参考値。

開示企業の8割が譲渡益計上

 譲渡損益は46社(前年同期33社)が公表した。このうち、譲渡益は38社(同32社)で、総額570億8,400万円(同1,722億300万円)だった。前年同期より66.7%減と大幅に減少した。
 一方、譲渡損の開示は8社(同1社)と大幅に増加した。譲渡損の総額も▲24億1,900万円(同▲7,500万円)と32.2倍に膨らんだ。
 譲渡益の最大は、日本紙パルプ商事で、事務所や駐車場などの売却で166億円を計上する。

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公表売却土地総面積、合計49万平方メートル

 2022年度上半期の売却土地総面積は40社が公表し、合計49万9,178平方メートルだった。前年同期(34社、合計67万1,022平方メートル)から25.6%減少した。
 売却土地面積が合計1万平方メートル超は11社(前年同期9社)。前年同期はIHI(プライム)が41万9,430平方メートルの大規模な土地を売却したため、総面積は反動で減少した。

公表売却土地面積 トップはシダックスの10万平方メートル

 公表売却土地面積トップは、給食事業などを手掛けるシダックス(スタンダード)の10万4,380平方メートルだった。株式譲渡による連結子会社の異動に伴い、保有していたホテルを売却した。
 2位はサクサホールディングス(プライム)の6万2,858平方メートル。3位は三菱製紙(プライム)の5万1,628平方メートル。

譲渡価額総額 公表11社合計で90億円

 譲渡価額の総額は、公表した11社(前年同期9社)で、90億9,800万円(同599億5,600万円)だった。
 トップは、百貨店の松屋(プライム)の41億9,200万円。財務体質の強化を目的に、複合商業ビルの共有持分などを売却した。2位はリカレント教育などを手掛けるビジネス・ブレークスルー(プライム)の24億円、3位はホテル運営のシー・ヴイ・エス・ベイエリア(スタンダード)で6億9,000万円だった。
 譲渡価額100億円以上の開示はゼロ(前年同期1社)だった。

業種別 小売業が最多の10社

 業種別では、小売業が10社で最多。経営資源の有効活用や、財務体質の強化を理由に挙げる企業がほとんどを占めた。最新期の本決算が赤字は4社(構成比40.0%)だった。
 2位はサービス業の9社で、売却土地総面積も業種別で最大となる10万7,327平方メートルだった。うち、最新期の本決算が赤字の企業は3社(同33.3%)。

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 国土交通省による2022年の都道府県地価調査(全国平均)では、全用途平均と商業地ともに、2019年以来3年ぶりの上昇となった。コロナ禍で低迷していた地価が上昇するなか、上場企業の不動産売却も高水準での推移が続いている。
 2022年度上半期に不動産売却を行った上場企業のうち、直近の本決算が赤字の企業は約4割(39.1%)を占めた。キャッシュの確保のため、不動産を売却する動きもみられる。
 リーマン・ショック以降、上場企業の不動産売却は年間100社を下回っていた。しかし、コロナ禍による業績悪化などを背景に、2019年度以降は3年連続で実施社数が増加している。2022年度は年間で100社を上回る可能性も出てきた。
 また、2022年度の開示企業46社のうち、10社は遊休資産などを売却しており、上場企業による不動産売却が進むことで、不動産市場の活性化も期待される。

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