• TSRデータインサイト

5月もコロナ破たんはハイペース 9日までに33件判明 累計は3407件に

 5月9日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が5件判明、全国で累計3,240件(倒産3,097件、弁護士一任・準備中143件)となった。
 2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加した。2022年に入っても1月、2月と連続して100件超え、さらに年度末の3月は過去最多を更新する216件に達した。4月に入ってもこれまでに4番目に多い164件で、100件超えは15カ月連続。5月は9日時点で33件が判明している。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計167件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で3,407件に達した。
 3年ぶりに行動制限がなかった大型連休は、繁華街や行楽地で人出の戻りが顕著となった。引き続き消費回復への期待が膨らむが、一方で経済活動が活発化すれば、運転資金の確保も経営課題に浮上するほか、アフターコロナへの対応に伴う資金需要も発生する。
 金融機関によるリスケ対応など、柔軟な姿勢に変化はなく、政府主導の「中小企業活性化パッケージ」の関連施策も本格化する見込みで、企業支援策は引き続き拡充されている。
 ただし、業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業は増加している。息切れやあきらめによる脱落も加わり、コロナ破たんは当面、高水準で推移するとみられる。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 新潟県で40件目、100件以上は8都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が682件(倒産658件、準備中24件)に達し、全体の2割強(構成比21.0%)を占め、突出している。以下、大阪府328件(倒産317件、準備中11件)、福岡県163件(倒産154件、準備中9件)、愛知県156件(倒産152件、準備中4件)、兵庫県145件(倒産138件、準備中7件)、神奈川県142件(倒産139件、準備中3件)、北海道123件(倒産118件、準備中5件)、埼玉県116件(倒産106件、準備中10件)と続く。
 9日は東京都や広島県、福島県、新潟県、愛媛県で各1件判明し、新潟県で40件目となった。10件未満は1県、10~20件未満が8県、20~50件未満が22県、50件以上100件未満が8府県、100件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の539件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で539件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が352件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の251件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が146件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が129件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した3,205件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,205件(構成比37.5%)、次いで1億円以上5億円未満が1,029件(同32.1%)、5千万円以上1億円未満が608件(同18.9%)、5億円以上10億円未満が189件(同5.8%)、10億円以上が174件(同5.4%)の順。
 負債1億円未満が1,813件(同56.5%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも8件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した3,097件の形態別では、破産が2,752件(構成比88.8%)で最多。次いで取引停止処分が131件(同4.2%)、民事再生法が130件(同4.1%)、特別清算が67件、内整理が14件、会社更生法が3件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した3,095件の従業員数の合計は3万693人にのぼった。
 3,095件の内訳では従業員5人未満が1,753件(構成比56.6%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が605件(同19.5%)、10人以上20人未満が394件(同12.7%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は13件発生している。


※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


0428以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

0428未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ