• TSRデータインサイト

コロナ破たん累計2,728件、沖縄県が20件超に【1月12日16:00 現在】

 1月12日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件判明、全国で累計2,594件(倒産2,481件、弁護士一任・準備中113件)となった。
 月別では、2021年に入って2月以降、100件超えが続き9月、10月と2カ月連続で最多を更新した。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後もコロナ破たんが減少する気配はみられず、12月は174件で4カ月連続で月間最多を更新した。2021年は1,718件に達し、2020年の843件に比べて約2倍に増加した。2022年に入っても12日時点で33件が判明している。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計134件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,728件となった。
 各地で感染者数の再拡大が深刻化している。広島・山口・沖縄の3県には1月9日以降、3カ月ぶりに「まん延防止等重点措置」が適用されたが、適用範囲外の地域でもイベント中止などが広がり、消費に関わるサービス関連を中心に事業環境の不透明感が漂っている。
 事業者向け給付金などの政策支援、金融機関によるリスケ対応などは継続する見通しだが、業績不振が長期化し、業績回復が進まずに過剰債務に陥った企業も目立ってきた。コロナ関連破たんは息切れ型による脱落を中心に、引き続き高水準で推移する可能性が高い。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 沖縄県で20件目判明 ~

 都道府県別では、東京都が567件(倒産547件、準備中20件)に達し、全体の2割強(構成比21.8%)を占め、突出している。以下、大阪府272件(倒産264件、準備中8件)、福岡県125件(倒産114件、準備中11件)、神奈川県124件(倒産120件、準備中4件)、愛知県122件(倒産122件)、兵庫県118件(倒産111件、準備中7件)、北海道90件(倒産88件、準備中2件)と続く。
 12日は沖縄県で2件、東京都、栃木県で各1件判明し、沖縄県は20件となった。10~20件未満が12県、20~30件未満が9県、30件以上は24都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の447件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で447件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が263件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の205件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が115件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が106件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,560件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の969件(構成比37.8%)、次いで1億円以上5億円未満が831件(同32.4%)、5千万円以上1億円未満が475件(同18.5%)、5億円以上10億円未満が145件(同5.6%)、10億円以上が140件(同5.4%)の順。
 負債1億円未満が1,444件(同56.4%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,481件の形態別では、破産が2,202件(構成比88.7%)で最多。次いで民事再生法が119件(同4.7%)、取引停止処分が106件(同4.2%)、特別清算が42件、内整理が11件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,475件の従業員数の合計は2万5,633人にのぼった。
 2,475件の内訳では従業員5人未満が1,401件(構成比56.6%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が490件(同19.7%)、10人以上20人未満が306件(同12.3%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も17件発生している。



※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


20211217コロナ以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

20211217コロナ未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「労働者派遣業」倒産53件 人材派遣が人手不足で年間最多ペースの可能性

深刻な人手不足が続くなか、 「労働者派遣業」の倒産がハイペースをたどっている。2025年5月の「労働者派遣業」倒産は、3月に並び今年最多の15件(前年同月比400.0%増)発生した。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

(株)ピーエスフードサービス 保育園への食材納品がストップ=納入業者の資金繰り悪化で

保育園などに食材を販売している(株)ピーエスフードサービス(TSRコード:352395583、さいたま市見沼区)は納品が困難になっていることを自社ホームページで公表した。

TOPへ