• TSRデータインサイト

1月のコロナ破たんはすでに25件と高水準続く、累計は小規模含め2,720件に【1月7日16:00 現在】

 1月7日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が5件判明、全国で累計2,586件(倒産2,471件、弁護士一任・準備中115件)となった。
 月別では、2021年に入って2月以降、100件超えが続き9月、10月と2カ月連続で最多を更新した。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後もコロナ破たんが減少する気配はみられず、12月は174件で4カ月連続で月間最多を更新した。2021年は1,718件に達し、2020年の843件に比べて約2倍に増加した。2021年に入っても7日時点で25件が判明している。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計134件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,720件となった。
 変異ウイルス「オミクロン株」など、各地で感染者数が増加し感染拡大の第6波の様相を呈している。広島・山口・沖縄の3県には1月9日以降、3カ月ぶりに「まん延防止等重点措置」の適用が正式決定し、消費に関わるサービス関連を中心に事業環境の不透明感が漂っている。
 事業者向け給付金などの政策支援、金融機関によるリスケ対応などは継続する見通しだが、業績不振が長期化し、業績回復が進まずに過剰債務に陥った企業も目立ってきた。コロナ関連破たんは息切れ型による脱落を中心に、引き続き高水準で推移する可能性が高い。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 北海道で90件目 ~

 都道府県別では、東京都が566件(倒産545件、準備中21件)に達し、全体の2割強(構成比21.8%)を占め、突出している。以下、大阪府272件(倒産264件、準備中8件)、福岡県125件(倒産114件、準備中11件)、神奈川県124件(倒産120件、準備中4件)、愛知県122件(倒産122件)、兵庫県117件(倒産110件、準備中7件)、北海道90件(倒産87件、準備中3件)と続く。
 7日は神奈川県で2件、北海道、埼玉県、大阪府で各1件判明し北海道で90件となった。10~20件未満が13県、20~30件未満が8県、30件以上は24都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の447件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で447件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が262件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の205件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が115件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が106件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,549件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の965件(構成比37.8%)、次いで1億円以上5億円未満が827件(同32.4%)、5千万円以上1億円未満が475件(同18.6%)、5億円以上10億円未満が145件(同5.6%)、10億円以上が137件(同5.3%)の順。
 負債1億円未満が1,440件(同56.4%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,471件の形態別では、破産が2,195件(構成比88.8%)で最多。次いで民事再生法が116件(同4.6%)、取引停止処分が106件(同4.2%)、特別清算が42件、内整理が11件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,461件の従業員数の合計は2万5,412人にのぼった。
 2,461件の内訳では従業員5人未満が1,396件(構成比56.7%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が489件(同19.8%)、10人以上20人未満が303件(同12.3%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も16件発生している。



※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


20211217コロナ以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

20211217コロナ未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ