• TSRデータインサイト

コロナ破たん累計2413件 福島と岡山で20件目が発生 【11月11日16:00 現在】

 11月11日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が6件判明、全国で累計2290件(倒産2175件、弁護士一任・準備中115件)となった。
 月別では、2021年に入って2月以降、100件超えが続き、9月はこれまでの最多を更新する160件に達した。10月はさらにこれを上回る164件に達し、2カ月連続で最多を更新した。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後もコロナ破たんが減少する気配はみられず、11月も11日までに72件が判明した。
 倒産集計の対象外となる負債1000万円未満の小規模倒産は累計123件判明。この結果、負債1000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2413件となった。
 飲食店などの営業制限が緩和され、消費関連企業を中心に需要回復への期待が高まっている。一方で、経営体力の低下による息切れのほか、経済活動の本格再開に伴う資金需要の高まりに対処できない企業が増えることも懸念される。
 金融機関のリスケなど支援は継続するが、業績不振が長期化し過剰債務の問題も浮上している。息切れ型を中心に、引き続きコロナ関連破たんは高水準で推移する見込みとなっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 福島県と岡山県で20件目が判明 ~

 都道府県別では、東京都が501件(倒産482件、準備中19件)に達し、全体の2割強(構成比21.8%)を占め、突出している。以下、大阪府240件(倒産231件、準備中9件)、神奈川県115件(倒産110件、準備中5件)、福岡県114件(倒産103件、準備中11件)、兵庫県103件(倒産95件、準備中8件)、愛知県101件(倒産100件、準備中1件)、北海道83件(倒産80件、準備中3件)と続く。
 11日は福島県、栃木県、東京都、富山県、岡山県、福岡県でそれぞれ1件判明し、福島県と岡山県が20件に到達した。10~20件未満が14県、20~30件未満が10県、30件以上は19都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上)~ 飲食が最多の409件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で409件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が224件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の186件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が110件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が103件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2259件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の853件(構成比37.7%)、次いで1億円以上5億円未満が733件(同32.4%)、5千万円以上1億円未満が411件(同18.1%)、5億円以上10億円未満が137件(同6.0%)、10億円以上が125件(同5.5%)の順。
 負債1億円未満が1264件(同55.9%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも7件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2175件の形態別では、破産が1937件(構成比89.0%)で最多。次いで民事再生法が104件(同4.7%)、取引停止処分が92件(同4.2%)、特別清算が31件、内整理が10件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

  「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2172件の従業員数の合計は2万3379人にのぼった。
 2172件の内訳では従業員5人未満が1229件(構成比56.5%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が414件(同19.0%)、10人以上20人未満が276件(同12.7%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も10件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


コロナ以上20211111

‌               (負債1,000万円以上)                  

コロナ未満20211111

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「病院・クリニック」の倒産 18件 前年上半期に並ぶ、ベッド数20床以上の病院が苦戦

コロナ禍を経て、病院やクリニックが苦境に立たされている。2025年1-5月に発生した病院・クリニックの倒産は18件で、すでに2024年上半期(1-6月)に並んだ。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。

TOPへ