• TSRデータインサイト

山梨で5件目判明 コロナ破たん 累計2,245件【10月18日16:00 現在】

 10月18日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件判明、全国で累計2,130件(倒産2,030件、弁護士一任・準備中100件)となった。
月別では、2021年に入って2月(122件)以降、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件でそれまでの最多を記録した。7月(140件)、8月(124件)も100件超えが続き、9月はこれまでの最多を更新する160件に達した。10月も18日までに76件と高いペースで推移している。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計115件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,245件となった。
「緊急事態宣言」の全面解除と感染者数の減少で、飲食や観光業を中心に需要回復への期待が高まっている。ただし、地域によっては営業時間の短縮要請やイベントの制限などが継続し、当面はサービス業の流動的な事業環境が続く見込みだ。
コロナ関連の金融支援策は継続するが、業績不振が長期化し過剰債務の問題も浮上している。経営体力の低下による息切れのほか、経済活動の再開に伴う資金需要の高まりに対処できない企業が増えることも懸念され、コロナ関連破たんは当面、高水準で推移するとみられる。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 山梨県で5件目判明、5件未満は鳥取県のみ ~

 都道府県別では、東京都が471件(倒産455件、準備中16件)に達し、全体の2割強(構成比22.1%)を占め、突出している。以下、大阪府226件(倒産218件、準備中8件)、神奈川県106件(倒産103件、準備中3件)、 愛知県96件(倒産96件)、兵庫県95件(倒産87件、準備中8件)、福岡県94件(倒産89件、準備中5件)、北海道77件(倒産74件、準備中3件)と続く。
18日は東京都、神奈川県、山梨県、高知県が各1件判明。山梨県は累計5件目に到達した。この結果、10~20件未満が17県、20~30件未満が8県、30件以上は18都道府県に広がっている。一方、5件未満は鳥取県(4件)のみ。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多の388件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で388件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が210件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の172件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が102件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が96件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,095件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の788件(構成比37.6%)、次いで1億円以上5億円未満が678件(同32.3%)、5千万円以上1億円未満が378件(同18.0%)、5億円以上10億円未満が133件(同6.3%)、10億円以上が118件(同5.6%)の順。
負債1億円未満が1,166件(同55.6%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,030件の形態別では、破産が1,807件(構成比89.0%)で最多。次いで民事再生法が98件(同4.8%)、取引停止処分が90件(同4.4%)、特別清算が25件、内整理が9件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

  「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,018件の従業員数の合計は2万2,111人にのぼった。
2,018件の内訳では従業員5人未満が1,139件(構成比56.4%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が384件(同19.0%)、10人以上20人未満が259件(同12.8%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も7件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図20211018①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20211018②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ