• TSRデータインサイト

東京2割強 コロナ破たん 累計2,241件【10月15日16:00 現在】

 10月15日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が8件判明、全国で累計2,126件(倒産2,025件、弁護士一任・準備中101件)となった。
月別では、2021年に入って2月(122件)以降、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件でそれまでの最多を記録した。7月(140件)、8月(124件)も100件超えが続き、9月はこれまでの最多を更新する160件に達した。10月も15日までに72件と高いペースで推移している。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計115件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,241件となった。
「緊急事態宣言」の全面解除と感染者数の減少で、飲食や観光業を中心に需要回復への期待が高まっている。ただし、地域によっては営業時間の短縮要請やイベントの制限などが継続し、当面はサービス業の流動的な事業環境が続く見込みだ。
コロナ関連の金融支援策は継続するが、業績不振が長期化し過剰債務の問題も浮上している。経営体力の低下による息切れのほか、経済活動の再開に伴う資金需要の高まりに対処できない企業が増えることも懸念され、コロナ関連破たんは当面、高水準で推移するとみられる。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 30件超えは18都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が470件(倒産454件、準備中16件)に達し、全体の2割強(構成比22.1%)を占め、突出している。以下、大阪府226件(倒産218件、準備中8件)、神奈川県105件(倒産102件、準備中3件)、 愛知県96件(倒産96件)、兵庫県95件(倒産87件、準備中8件)、福岡県94件(倒産89件、準備中5件)、北海道77件(倒産74件、準備中3件)と続く。
15日は秋田県と東京都、大阪府で各2件、群馬県と栃木県が各1件判明した。この結果、10~20件未満が17県、20~30件未満が8県、30件以上は18都道府県に広がっている。一方、5件未満は山梨県、鳥取県(各4件)の2県のみ。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多の387件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で387件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が209件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の171件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が102件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が96件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,091件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の786件(構成比37.5%)、次いで1億円以上5億円未満が676件(同32.3%)、5千万円以上1億円未満が378件(同18.0%)、5億円以上10億円未満が133件(同6.3%)、10億円以上が118件(同5.6%)の順。
負債1億円未満が1,164件(同55.6%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,025件の形態別では、破産が1,802件(構成比88.9%)で最多。次いで民事再生法が98件(同4.8%)、取引停止処分が90件(同4.4%)、特別清算が25件、内整理が9件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

  「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,014件の従業員数の合計は2万2,101人にのぼった。
2,014件の内訳では従業員5人未満が1,136件(構成比56.4%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が383件(同19.0%)、10人以上20人未満が259件(同12.8%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も7件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図20211015①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20211015②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ