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飲食業(1-8月)の倒産、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」地域外で増加

 2021年1-8月の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は447件(前年同期比23.3%減)で、コロナ関連支援で落ち着いている。ただ、飲食業倒産のうち、コロナ関連倒産は204件(構成比45.6%)を占め、コロナ禍の収束が見通せないなか、支援効果も限界に近づきつつあるようだ。
 飲食業の倒産を業種別にみると、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」は100件のうち、コロナ関連倒産が62件(構成比62.0%)を占めた。また、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」は42件(前年同期比5.0%増)と唯一、増加した。酒類提供が経営の柱になっている業種では、営業時間の短縮に加え、酒類提供の制限が深刻な打撃を及ぼしていることがわかる。
 ワクチン接種を前提とした制限緩和に向けた議論も始まっているが、コロナ禍前の売上水準に回復するのは難しい状況となっている。
 また、新型コロナウイルスの感染者の急増で、8月に「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の適用地域が拡大した。飲食業者は休業や時短営業、酒類提供の停止など、営業に大きな制限を余儀なくされている。その一方、全国的な感染拡大で対象地域外でも、人流抑制の動きが広がり、客足の冷え込みから飲食業界の倒産は増えている。長引くコロナ禍のなかで、対象地域外でも飲食業界への支援のあり方が問われている。

  • 本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2021年1-8月の倒産を集計、分析した。

【都道府県別】宣言地域外で倒産増加が目立つ

 都道府県別では、増加が19府県、減少が24都道府県、同数が4県。
 増加した19都道府県のうち、青森(2→4件)、岩手(1→3件)、山形(1→2件)、長野(3→5件)、福井(2→3件)、和歌山(7→8件)、鳥取(0→2件)、島根(2→4件)、山口(7→14件)、大分(2→3件)の10県は緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の対象地域外(8月末時点)となっている。
 全国的に感染拡大が続くなかで、宣言地域外では協力金などの支援が乏しく、コロナ禍での来店客数の減少や客単価の低下などの影響が大きくなっているようだ。

飲食業

新型コロナ関連倒産の構成比が45.6%

 2021年1-8月の飲食業倒産は、447件(前年同期比23.3%減)だった。
 過去30年間で最多を記録した2020年同期は、コロナ禍前の人手不足による人件費上昇に加え、最初の緊急事態宣言で全国的に外出自粛が急激に広がり、飲食業倒産が増加した。
 2021年は新型コロナ関連の各種支援の効果もあり、倒産は全体的に小康状態が続いている。
ただ、1-8月の飲食業では、新型コロナ関連倒産が204件(構成比45.6%)と、飲食業倒産の半数近くを占め、コロナ禍の影響の深刻さがうかがわれる。月別の構成比は、1月43.3%、2月35.1%、3月43.6%、4月53.7%、5月49.0%、6月38.3%、7月52.5%、8月46.5%だった。
 コロナ禍で客足が大幅に落ち込んだ店舗も多く、小・零細規模の飲食店を中心に、厳しい事業環境で飲食業者の息切れ倒産の増加が懸念される。

飲食業

業種別 居酒屋は新型コロナ関連倒産が6割超

 業種別では、最多が日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の121件(前年同期比20.3%減)。次いで、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」100件(同12.2%減)、「食堂,レストラン」81件(同41.3%減)の順。
 「バー,キャバレー,ナイトクラブ」は42件(同5.0%増)で、飲食業倒産の業種別では4番目ながら唯一、前年同期より増加した。
 新型コロナ関連倒産の構成比が高い業種は、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」が62.0%(新型コロナ関連倒産62件)で最高だった。以下、「専門料理店」が49.5%(同60件)、「食堂,レストラン」が43.2%(同35件)と続く。「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の適用地域で酒類の提供制限や時短営業が継続するなか、酒類を取り扱う業種でコロナ関連倒産の割合が高い。

赤字法人

原因別 「販売不振」の構成比が約9割に拡大

 原因別の最多は、「販売不振」の387件(前年同期比22.7%減)。飲食業倒産に占める構成比は86.5%(前年同期85.9%)で、前年同期より0.6ポイント上昇した。
 次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」22件(前年同期比±0.0%)、「事業上の失敗」14件(同41.6%減)の順。
 『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は409件(構成比91.4%)で、営業制限が続くなか、売上回復の遅れから息切れする飲食業者が増えている。

従業員数別 「20人以上50人未満」が唯一増加

 従業員数別では、「20人以上50人未満」が8件(前年同期比33.3%増、前年同期6件)で、唯一増加した。中堅規模の事業者は、休業要請や時短営業などで売上が落ち込む一方、家賃や従業員の雇用確保などで固定費の負担が重い。迅速な協力金の支給がないと手持ち資金や各種支援効果も限界に達するため、倒産抑制に繋がっていない可能性がある。
 ただ、「5人未満」が378件(前年同期比23.0%減、構成比84.5%)と8割以上を占め、飲食業の倒産は経営体力が乏しい小・零細企業が中心となっている。
 「50人以上300人未満」は1件(前年同期比80.0%減、前年同期5件)にとどまり、「300人以上」は前年同期と同件数のゼロだった。

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