• TSRデータインサイト

負債1億円未満が半数 コロナ破たん 1,966件【8月25日16:00 現在】

 8月25日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が2件判明、全国で累計1,863件(倒産1,759件、弁護士一任・準備中104件)となった。
 月別では、2021年に入って2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件で過去最多を記録した。7月も140件に達し、過去3番目。8月も25日までに93件と、高いペースで推移している。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計103件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で1,966件となった。
 「緊急事態宣言」の適用は全国で13都府県、「まん延防止等重点措置」は16道県へと拡大した。休業や酒類提供自粛を要請する自治体が増加しているほか、外出自粛によるサービス業や小売業、これらを取り巻く取引先にも影響が及び、夏場の書き入れ時に厳しい事業環境が続いている。
 コロナ関連の金融支援策は継続するが、業績不振が長期化するなかでコロナ融資の返済がスタートする企業も出始め、過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至る小規模事業者を中心に、コロナ関連破たんは今後も増加をたどる可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 30件以上は15都道府県に ~

 都道府県別では、東京都が430件(倒産404件、準備中26件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.0%)を占め、突出している。以下、大阪府201件(倒産190件、準備中11件)、神奈川県92件(倒産88件、準備中4件)、愛知県86件(倒産86件)、福岡県78件(倒産75件、準備中3件)、兵庫県76件(倒産70件、準備中6件)、北海道70件(倒産68件、準備中2件)と続く。
 25日は宮城県と香川県で1件ずつ判明した。10~20件未満が19県、20~30件未満が8府県、30件以上は15都道府県に広がっている。
 一方、5件未満は山梨県(3件)、秋田県と鳥取県(各4件)の3県のみ。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多の340件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で340件に及ぶ。首都圏などでは休業や時短営業、酒類提供の制限などが続き、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が181件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の158件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が89件、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業も同件数の89件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,828件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の674件(構成比36.8%)、次いで1億円以上5億円未満が603件(同32.9%)、5千万円以上1億円未満が329件(同17.9%)、5億円以上10億円未満が116件(同6.3%)、10億円以上が106件(同5.7%)の順。
 負債1億円未満が1,003件(同54.8%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,759件の形態別では、破産が1,569件(構成比89.1%)で最多。次いで民事再生法が86件(同4.8%)、取引停止処分が82件(同4.6%)、特別清算が14件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

  「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,745件の従業員数の合計は1万9,858人にのぼった。
 1,745件の内訳では従業員5人未満が966件(構成比55.3%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が340件(同19.4%)、10人以上20人未満が233件(同13.3%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年1-3月で12件、4月以降は4件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図20210825①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210825②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「病院・クリニック」の倒産 18件 前年上半期に並ぶ、ベッド数20床以上の病院が苦戦

コロナ禍を経て、病院やクリニックが苦境に立たされている。2025年1-5月に発生した病院・クリニックの倒産は18件で、すでに2024年上半期(1-6月)に並んだ。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。

TOPへ