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負債1,000万円未満のコロナ関連倒産は57件で、前年同期の4倍(2021年1-7月)

 2021年1-7月の負債1,000万円未満の企業倒産は、累計273件(前年同期比29.0%減)で、2年ぶりに200件台にとどまった。
 ただ、負債1,000万円未満の「新型コロナウイルス」関連倒産は57件(構成比20.8%、前年2-7月累計14件)で、前年同期の4倍に達し、長引くコロナ禍の影響が広がっている。
 新型コロナ感染拡大が深刻化した2020年2月以降、2020年は裁判所の一部業務縮小があった5月、8月、11月を除き、前年同月を上回った。2021年はコロナ関連支援が小・零細規模の企業・商店などにも広がり、3月・5月を除き前年同月を下回り、抑制されている。
 産業別で、最多はサービス業他の125件(前年同期比33.5%減、構成比45.7%)。美・理容業やエステティック業などを含む「生活関連サービス業、娯楽業」が30件(前年同期比11.1%増)と増加した。一方、コロナ禍の打撃が大きい飲食業が36件(同40.0%減)、宿泊業が1件(前年同期3件)で、それぞれ減少した。
 原因別では、最多は「販売不振」の205件(前年同期比22.6%減)で、負債1,000万円倒産に占める構成比は75.0%(前年同期68.8%)と、前年同期より6.2ポイント上昇した。
 コロナ関連の金融支援は、当初の赤字補填から本業支援に変化し、業績回復が遅れた企業にとっては資金調達のハードルが高まっている。
 長期化するコロナ禍で、国や自治体、金融機関、商工会議所などが手を組み、経営基盤がぜい弱で、過剰債務に陥っている小・零細企業に対し、実態に合わせた支援が必要になっている。

  • 本調査は2021年(1-7月)に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、通常の「倒産集計」(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

倒産件数273件、高まる新型コロナ関連倒産

 2021年(1-7月)の負債1,000万円未満の企業倒産は273件(前年同期比29.0%減)で、2019年同期以来、2年ぶりに200件台にとどまった。2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国や自治体、金融機関による緊急避難的な資金繰り支援により、負債1,000万円以上の企業倒産は大幅に抑制された。その一方で、負債1,000万円未満の倒産は急増した。
 2021年は、コロナ禍の資金繰り支援策は小・零細規模の企業・商店にも広がり、一定の効果をみせ負債1,000万円未満も低水準で推移している。
 ただ、1,000万円未満の倒産に占める「新型コロナ」関連倒産の構成比は、1月18.1%、2月5.8%、3月13.2%と低水準だったが、4月以降は4月29.7%、5月26.3%、6月24.3%、7月29.7%に上昇。倒産が低水準で推移するなか、「新型コロナ」関連倒産の割合は高まっている。

1000万未満

【産業別】10産業のうち、7産業で減少

 産業別は、10産業のうち、増加は農・林・漁・鉱業(3→6件)、小売業(38→41件)の2産業。一方、減少は建設業(47→34件)、製造業(19→9件)、卸売業(36→26件)、不動産業(7→6件)、運輸業(12→10件)、情報通信業(34→15件)、サービス業他(188→125件)の7産業。金融・保険業(1件)は前年同期と同件数だった。
 産業別の最多は、サービス業他の125件(前年同期比33.5%減)。負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は45.7%(前年同期48.8%)で、4割以上を占めた。
 次いで、小売業41件(前年同期比7.8%増、構成比15.0%)、建設業34件(同27.6%減、同12.4%)、卸売業26件(同27.7%減、同9.5%)、情報通信業15件の順。
 倒産が増加した小売業は、飲食料品小売業が8件(前年同期比14.2%増、前年同期7件)、機械器具小売業が6件(同100.0%増、同3件)と増加した。
 負債1,000万円未満の「新型コロナ」関連倒産では、サービス業他が30件(構成比52.6%)で最も多い。内訳は、美容業(3件)やエステティック業(2件)を含む「生活関連サービス業,娯楽業」が12件、「飲食業」が9件など。

1000万未満

【形態別】破産の構成比が97.0%

 形態別では、最多が「破産」の265件(前年同期比28.9%減)。負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は97.0%(前年同期96.8%)で、前年同期より0.2ポイント上昇した。
 そのほか、「民事再生法」は5件(前年同期8件)で、すべてが小規模個人再生手続きだった。
 また、「取引停止処分」は2件(同3件)、「特別清算」は前年同期と同件数の1件だった。
 負債1,000万円未満は、小・零細企業が中心で、業況回復は遅れている。それだけに先行きの見通しが立たず、事業継続を断念して消滅型の「破産」を選択する企業が多い。
 また、長引くコロナ禍に加え、代表者の高齢化が進むなかで、後継者の不在も事業継続をあきらめる一因となっている。

【原因別】販売不振の構成比が7割超

 原因別では、『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)が220件(前年同期比22.2%減、前年同期283件)だった。負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は80.5%で、前年同期の73.5%より7.0ポイント上昇した。
 「販売不振」が205件(前年同期比22.6%減)で、構成比が75.0%(前年同期68.8%)と前年同期より6.2ポイント上昇した。
 「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が15件(前年同期17件)だった。
 そのほか、代表者の死亡・病気を含む「その他」が14件(前年同期比27.2%増)、「他社倒産の余波」が22件(同59.2%減)で、関連企業への連鎖倒産が大半を占めた。
 また、「運転資金の欠乏」が6件(同25.0%減)、「事業上の失敗」が5件(同80.7%減)で、設立10年未満の企業がほとんど。

【資本金別】1千万円未満の構成比が9割超

 資本金別では、「1千万円未満(個人企業他を含む)」が257件(前年同期比27.1%減、前年同期353件)だった。負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は94.1%で、前年同期(91.6%)より2.5ポイント上昇した。1-7月では、2012年以降の10年間で最高を記録した。
 内訳は、「1百万円以上5百万円未満」が103件(前年同期比25.8%減)、「個人企業他」が86件(同31.2%減)、「1百万円未満」が43件(同14.0%減)、「5百万円以上1千万円未満」が25件(同35.8%減)だった。
 そのほか、「1千万円以上5千万円未満」が16件(同50.0%減)。
 「5千万円以上1億円未満」は3年連続、「1億円以上」は2年連続で発生がなかった。

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