• TSRデータインサイト

海運大手3社が急回復、4-6月期の純利益が3410億円の増益

コンテナ事業への投資利益が良化

 資源、製鉄、自動車メーカーの旺盛な海運需要で海運大手3社の2021年4-6月期(連結、第1四半期)の純利益が3572億2700万円と、前年同期から3410億700万円の大幅増益となった。また、2022年3月期(連結)の業績予想も3社そろって売上高、利益ともに上方修正した。

8月4日、海運大手3社の2021年4-6月期連結決算が出そろった。日本郵船(株)(千代田区、東証1部)は、売上高が5046億1100万円(前年同期39.7%増)、純利益が1510億9300万円(前年同期116億8400万円)。(株)商船三井(東京都港区、東証1部)は、売上高2888億7400万円(前年同期14.9%増)、純利益1041億4700万円(前年同期54億9100万円)。川崎汽船(株)(千代田区、東証1部)は、売上高1747億4300万円(14.8%増)、純利益1019億8700万円(前年同期9億5500万円の赤字)と大幅な増益だった。
新型コロナウイルスの影響を受けた前年同期から一転、世界的な経済活動の回復で、資源、穀物輸送のドライバルク事業が好調だったほか、自動車輸送の回復から業績が大幅改善。さらに、海運大手3社のコンテナ船事業が統合されたオーシャンネットワークエクスプレスジャパン(株)(TSR企業コード:025187155、東京都港区、以下ONE)の損益改善も寄与し、3社とも800億円を超える投資利益の計上で純利益を押し上げた。
また、2022年3月期決算(連結)の業績予想の純利益は、日本郵船が5000億円(259.1%増)、商船三井は3350億円(272.0%増)、川崎汽船は2650億円(143.8%増)に上方修正した。いずれも好調なドライバルク船市況とONEの旺盛な輸送需要を加味し、業績伸長を見込んでいる。

2020年は新型コロナにより経済が停滞したが、2021年はコロナ禍が続くなか、海運大手がいち早く業績が回復している。

海運3社の業績

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ