• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん 1,832件【7月27日16:00 現在】

 7月27日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件判明、全国で累計1,740件(倒産1,638件、弁護士一任・準備中102件)となった。
 月別では2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新。5月は124件と2021年1月以来4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は4月を上回る155件で、過去最多を記録した。7月も27日時点で110件が判明し6カ月連続で100件を上回り、引き続き高いペースとなっている。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計92件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で1,832件となった。
 東京都では4度目の緊急事態宣言下だが、過去最多の感染者数が確認されるなど再拡大が深刻化している。飲食店に対する休業や酒類提供の自粛要請で、酒類販売事業者なども含めて関連業種の厳しい事業環境が続いている。
 ダメージを受けた企業への金融支援策は継続するが、業績回復しないままコロナ融資の返済がスタートする企業も出始め、過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至るケースも目立ち、今後もコロナ関連破たんは増加する可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 30件以上が12都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が404件(倒産380件、準備中24件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.2%)を占め、突出している。以下、大阪府178件(倒産168件、準備中10件)、神奈川県88件(倒産84件、準備中4件)、愛知県82件(倒産81件、準備中1件)、兵庫県73件(倒産66件、準備中7件)、福岡県71件(倒産69件、準備中2件)、北海道69件(倒産68件、準備中1件)と続く。
 27日は東京都で3件発生したほか神奈川県、兵庫県、宮崎県で1件ずつ判明した。10~20件未満が17県、20~30件未満が11府県、30件以上は12都道府県に広がっている。一方、5件未満は山梨県(2件)、秋田県と鳥取県(各4件)の3県のみ。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多の309件、建設、アパレル、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で309件に及ぶ。首都圏などでは休業や時短営業、酒類提供の制限などが続き、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が170件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の153件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が85件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が82件、食品製造業も54件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,707件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の616件(構成比36.0%)、次いで1億円以上5億円未満が577件(同33.8%)、5千万円以上1億円未満が302件(同17.6%)、5億円以上10億円未満が110件(同6.4%)、10億円以上が102件(同5.9%)の順。
 負債1億円未満が918件(同53.7%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,638件の形態別では、破産が1,455件(構成比88.8%)で最多。次いで民事再生法が85件(同5.1%)、取引停止処分が77件(同4.7%)、特別清算が13件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。 

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

  「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,631件の従業員数の合計は1万9,266人にのぼった。
 1,631件の内訳では従業員5人未満が891件(構成比54.6%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が318件(同19.4%)、10人以上20人未満が223件(同13.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年1-3月で12件、4月以降は4件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図20210727①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210727②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ