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「新型コロナウイルス」関連破たん 1,776件【7月12日16:00 現在】

 7月12日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件判明、全国で累計1,686件(倒産1,584件、弁護士一任・準備中102件)となった。
月別では2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新。5月は124件と2021年1月以来4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は4月を上回る155件で、過去最多を記録した。7月も12日時点で56件が判明し、引き続き高いペースとなっている。
なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計90件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で1,776件となった。
7月12日以降、東京都では約1カ月半の予定で4度目の緊急事態宣言に移行し、首都圏3県と大阪府が対象のまん延防止等重点措置は延長された。飲食店に対する休業や酒類提供の自粛要請など、取引業者なども含めて関連業種の厳しい事業環境が続いている。
ダメージを受けた企業への金融支援策は継続するが、事業環境が回復しないままコロナ融資の返済がスタートする企業も出始め、過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至るケースも目立ち、全倒産に占めるコロナ関連の割合が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 島根県が10件目 ~

 都道府県別では、東京都が392件(倒産369件、準備中23件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.2%)を占め、突出している。以下、大阪府176件(倒産165件、準備中11件)、神奈川県86件(倒産82件、準備中4件)、愛知県80件(倒産78件、準備中2件)、兵庫県68件(倒産62件、準備中6件)、北海道(倒産65件、準備中1件)と福岡県(倒産65件、準備中1件)がともに66件。
12日は北海道、栃木県、神奈川県、島根県でそれぞれ1件ずつ判明し、島根県が10件目となった。
この結果、10~20件未満が18県、20~30件未満が10府県、30件以上は12都道府県に広がっている。一方、5件未満は山梨県(2件)、秋田県と鳥取県(各4件)の3県のみ。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多の300件超え、建設、アパレル、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で303件に及ぶ。首都圏などでは休業や時短営業、酒類提供の制限などが続き、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が166件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の149件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が83件と続く。
また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が79件、食品製造業も53件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,653件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の599件(構成比36.2%)、次いで1億円以上5億円未満が562件(同33.9%)、5千万円以上1億円未満が287件(同17.3%)、5億円以上10億円未満が106件(同6.4%)、10億円以上が99件(同5.9%)の順。
負債1億円未満が886件(同53.5%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,584件の形態別では、破産が1,404件(構成比88.6%)で最多。次いで民事再生法が83件(同5.2%)、取引停止処分が76件(同4.7%)、特別清算が13件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,582件の従業員数の合計は1万8,842人にのぼった。
1,582件の内訳では従業員5人未満が864件(構成比54.6%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が312件(同19.7%)、10人以上20人未満が212件(同13.4%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50名以上の破たんは2021年1-3月で12件、4-6月では2件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図20210712①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210712②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

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