• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん 1,749件【7月6日16:00 現在】

 7月6日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が8件判明、全国で累計1,661件(倒産1,561件、弁護士一任・準備中100件)となった。
月別では2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新。5月は124件と2021年1月以来4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は4月を上回る155件で、過去最多を記録した。7月も6日時点で31件が判明し、引き続き高いペースが続いている。
なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計88件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で1,749件となった。
首都圏などのまん延防止等重点措置は、7月11日の期限が延長される可能性が高まってきた。飲食店の酒類提供や営業時間の制限は継続し、当面は流動的な状況といえ、消費関連企業にとって厳しい環境は変わらない。
ダメージを受けた企業への金融支援策は続くが、事業環境が回復しないままコロナ融資の返済がスタートする過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至るケースも目立ち始め、全倒産のうち、コロナ関連が占める割合が高まってきた。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 愛知県で80件目 ~

 都道府県別では、東京都が387件(倒産366件、準備中21件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.2%)を占め、突出している。以下、大阪府172件(倒産161件、準備中11件)、神奈川県85件(倒産80件、準備中5件)、愛知県80件(倒産78件、準備中2件)、兵庫県(倒産60件、準備中6件)と福岡県(倒産65件、準備中1件)が各66件、北海道65件(倒産64件、準備中1件)と続く。
6日は大阪府で3件判明したほか、山形県で2件、秋田県、東京都、愛知県でそれぞれ1件判明し、愛知県が80件目となった。10~20件未満が16県、20~30件未満が10府県、30件以上は12都道府県に広がっている。一方、5件未満は山梨県(2件)、鳥取県(3件)、秋田県(4件)の3県のみ。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多296件、建設163件、アパレル145件、宿泊83件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多の296件。一部地域では休業や時短の要請が継続し、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が163件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の145件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が83件と続く。
また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が79件、食品製造業も52件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,629件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の588件(構成比36.0%)、次いで1億円以上5億円未満が551件(同33.8%)、5千万円以上1億円未満が285件(同17.4%)、5億円以上10億円未満が105件(同6.4%)、10億円以上が100件(同6.1%)の順。
負債1億円未満が873件(同53.5%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,561件の形態別では、破産が1,382件(構成比88.5%)で最多。次いで民事再生法が82件(同5.2%)、取引停止処分が76件(同4.8%)、特別清算が13件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,558件の従業員数の合計は1万8,745人にのぼった。
1,558件の内訳では従業員5人未満が847件(構成比54.3%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が307件(同19.7%)、10人以上20人未満が211件(同13.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50名以上の破たんは2021年1-3月で12件、4-6月では2件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図20210706①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210706②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年度「人手不足倒産予備軍」  ~ 今後は「人材採用力」の強化が事業継続のカギ ~

賃上げ圧力も増すなか他社との待遇格差で十分な人材確保ができなかった企業、価格転嫁が賃上げに追い付かず、資金繰りが限界に達した企業が事業断念に追い込まれている。  こうした状況下で「人手不足」で倒産リスクが高まった企業を東京商工リサーチと日本経済新聞が共同で分析した。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-11月の「人手不足」倒産 359件 サービス業他を主体に、年間400件に迫る

深刻さを増す人手不足が、倒産のトリガーになりつつある。2025年11月の「人手不足」倒産は34件(前年同月比70.0%増)と大幅に上昇、6カ月連続で前年同月を上回った。1-11月累計は359件(前年同期比34.4%増)と過去最多を更新し、400件も視野に入ってきた。

3

  • TSRデータインサイト

【社長が事業をやめる時】 ~消えるクリーニング店、コスト高で途絶えた白い蒸気~

厚生労働省によると、全国のクリーニング店は2023年度で7万670店、2004年度以降の20年間で5割以上減少した。 この現実を突きつけられるようなクリーニング店の倒産を聞きつけ、現地へ向かった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年1-11月の「税金滞納」倒産は147件 資本金1千万円未満の小・零細企業が約6割

2025年11月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は10件(前年同月比9.0%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。1-11月累計は147件(前年同期比11.9%減)で、この10年間では2024年の167件に次ぐ2番目の高水準で推移している。

5

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

TOPへ