• TSRデータインサイト

政府系金融機関によるゼロゼロ融資、申請期限を延長

 経済産業省は5月25日、政府系金融機関による実質無担保・無利子融資の申請期限を2021年6月30日から2021年末に延長することを発表した。実質無担保・無利子融資(ゼロゼロ融資)は、新型コロナウイルス感染拡大による売上減少など一定の条件を満たせば、3年間の利子補給が受けられる。
 政府の緊急避難的な資金繰り支援策として2020年3月17日から導入された。日本政策金融公庫、商工中金の政府系金融機関のほか、5月から民間金融機関などで開始され、最長5年間の元金返済の据置きが可能だ。
 時限立法で2021年6月に受付を終了する予定だったが、「緊急事態宣言などで状況が悪いことや日本政策金融公庫への相談件数が平時に比べ依然として多い」(経済産業省)ことから、中小企業の資金繰り支援を当面2021年末まで継続する。なお、民間金融機関は3月末で受付が終了している。
 政府が公表した「各省庁における支援事業の執行状況調査(2021年5月21日現在)」は、以下の通り。日本政策金融公庫は、執行件数84万666件、執行額14兆4,005億円。商工中金は、同3万2,422件、同2兆4,957億円。政府系金融機関の合計は、執行件数87万3,088件、執行額16兆8,962億円に達する。
 政府の資金繰り支援効果で、2020年度の企業倒産は7,163件と30年ぶりに8,000件を下回った。だが、過剰債務の副作用も生んでおり、長期化するコロナ禍で中小企業の転業や業績回復を促す。

ゼロゼロ


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年5月26日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ