「新型コロナウイルス」関連破たん状況(5月13日午前11時時点)
負債1,000万円以上 1,389件
負債1,000万円未満 71件
- ※企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
- ※原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
- ※東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。
~ 4月は3カ月連続で最多件数を更新、5月は38件が発生 ~
5月13日は午前11時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が5件判明、全国で累計1,389件(倒産1,312件、弁護士一任・準備中77件)となった。
月別では2月(122件)、3月(139件)と、2カ月連続でこれまでの月間最多件数を更新し、増勢ペースが鮮明となっていたが、4月は初めて月間150件超えとなる154件が判明。3カ月連続で最多件数を更新した。5月も13日時点で38件が判明し、高水準で推移している。
なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計71件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1,460件となった。
3度目の緊急事態宣言は5月12日、これまでの4都県に加えて愛知県と福岡県が適用地域に追加された。再び各地で感染者数が増加の兆しをみせるなか、飲食店の酒類提供の制限、飲食店や商業施設などの時短営業や休業が広がり、消費関連業への影響が懸念される。
ダメージを受けた企業への金融支援策は継続するが、事態の長期化による息切れやあきらめ型の破たん、過剰債務の問題が浮上している。コロナ関連破たんは引き続き増勢を強める可能性が高まっている。
【都道府県別】(負債1,000万円以上)~熊本県で20件目、奈良県で10件目が判明~
都道府県別では、東京都が335件(倒産316件、準備中19件)に達し、全体の約4分の1(構成比24.1%)を占め、突出している。以下、大阪府144件(倒産138件、準備中6件)、神奈川県68件(倒産64件、準備中4件)、愛知県66件(倒産65件、準備中1件)、北海道60件(倒産59件、準備中1件)と続く。
13日は東京都で2件、長野県、奈良県、熊本県でそれぞれ1件ずつ判明。熊本県では20件目、奈良県で10件目となった。この結果、都道府県別では10~20件未満が19県、20~30件未満が5府県、30件以上は11都道府県に広がっている。
【業種別】(負債1,000万円以上)
~飲食が最多252件、建設122件、アパレル118件、宿泊78件 ~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多の252件。一部地域では休業や時短の要請が継続し、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が122件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の118件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が78件と続く。
また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が62件、食品製造業も47件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
負債額が判明した1,363件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の488件(構成比35.8%)、次いで1億円以上5億円未満が470件(同34.4%)、5千万円以上1億円未満が232件(同17.0%)、5億円以上10億円未満が88件(同6.4%)、10億円以上が85件(同6.2%)の順。
負債1億円未満が720件(同52.8%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,312件の形態別では、破産が1,154件(構成比87.9%)で最多。次いで民事再生法が74件(同5.6%)、取引停止処分が68件(同5.1%)、特別清算が9件、内整理が6件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,315件の従業員数の合計は1万7,210人にのぼった。
1,315件の内訳では従業員5人未満が692件(構成比52.6%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が267件(同20.3%)、10人以上20人未満が184件(同13.9%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
一方、従業員50名以上の破たんは2021年1-3月で11件発生し、4月は1件発生した。