• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん1,290件【4月2日16:00 現在】

 4月2日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が12件(倒産11件、弁護士一任・準備中1件)判明し、負債1,000万円以上の累計は全国で1,231件(倒産1,154件、弁護士一任・準備中77件)となった。
 月別では2020年9月以降、11月まで3カ月連続で100件超え。12月、1月は2カ月連続で100件を下回ったが90件台と高い水準で推移した。2月は月別最多の122件に達したが、3月はこれを上回る139件と、月間最多件数を更新。4月も2日までに34件が判明した。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計59件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1,290件となった。
 東京都、大阪府などで感染者数が再増加の兆しをみせている。大阪府などでは「まん延防止等重点措置」の適用で飲食店の営業時短要請は継続し、事業環境の回復見通しに不透明感が漂っている。コロナ禍の進行から1年以上が経過し、企業の疲弊感は高まっている。息切れ破たんやあきらめ型のほか、休業していた企業の債務整理などが進み、コロナ関連破たんは引き続き増勢をたどる可能性が高い。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)

 都道府県別では、東京都が292件(倒産278件、準備中14件)に達し、全体の4分の1(構成比23.7%)を占め、突出している。以下、大阪府121件(倒産110件、準備中11件)、神奈川県60件(倒産56件、準備中4件)、愛知県57件(倒産56件、準備中1件)、北海道55件(倒産54件、準備中1件)と続く。
 31日は愛知県と大阪府でそれぞれ3件、北海道、東京都、岐阜県、長崎県、宮崎県、鹿児島県でそれぞれ1件ずつ判明。この結果、都道府県別では10~20件未満が20府県、20~30件未満が4県、30件以上は10都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上)~ 飲食業が219件、アパレル109件、建設109件、宿泊77件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多の219件。一部地域では時短要請が継続し、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)と、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業がともに109件で並んだ。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が77件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が58件、食品製造業も40件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,210件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で426件(構成比35.2%)。次に、1千万円以上5千万円未満422件(同34.8%)、5千万円以上1億円未満204件(同16.8%)、10億円以上が81件(同6.6%)、5億円以上10億円未満が77件(同6.3%)の順。
 負債1億円未満が626件(同51.7%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,154件の形態別では、破産が1,015件(構成比87.9%)で最多。次いで民事再生法が65件(同5.6%)、取引停止処分が60件(同5.1%)、特別清算が7件、内整理が6件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,154件の従業員数の合計は1万6,209人にのぼった。
 1,154件の内訳では従業員5人未満が599件(構成比51.9%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が227件(同19.6%)、10人以上20人未満が167件(同14.4%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 一方、2月は従業員50名以上の破たんが4件、3月も6件発生しており、中堅規模以上のコロナ関連破たんが増加している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図20210402①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210402②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ