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「新型コロナウイルス」関連破たん【3月29日16:00 現在】

 3月29日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件(倒産2件、弁護士一任・準備中2件)判明し、負債1,000万円以上の累計は全国で1,182件(倒産1,096件、弁護士一任・準備中86件)となった。
 月別では2020年9月以降、11月まで3カ月連続で100件超え。12月、1月は2カ月連続で100件を下回ったが90件台と高い水準で推移した。2月は月別最多の122件に達し、3月も29日時点で124件が判明。2月の件数を上回り、月間最多の件数を更新した。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計57件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1,239件で、3月の月間件数は131件。最多だった2月(126件)を上回り、最多件数を更新した。
 1都3県の緊急事態宣言が解除されたが、飲食店の営業時短要請は継続する。また、地域によって独自の時短要請を打ち出しており、事業環境の回復見通しは不透明な状況が続く。息切れ破たんやあきらめ型のほか、休業していた企業の債務整理などが進み、コロナ関連破たんは1年を経過し、再び増勢が強まってきた。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)

 都道府県別では、東京都が284件(倒産267件、準備中17件)に達し、全体の4分の1(構成比24.0%)を占め、突出している。以下、大阪府115件(倒産104件、準備中11件)、神奈川県58件(倒産55件、準備中3件)、愛知県(倒産50件、準備中3件)と北海道(倒産53件)が53件、兵庫県が46件(倒産44件、準備中2件)と続く。
 29日は埼玉県、大阪府、福岡県、沖縄県でそれぞれ1件ずつ判明した。都道府県別では10~20件未満が19府県、20~30件未満が3県、30件以上は10都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上)~ 飲食業が206件、アパレル105件、建設104件、宿泊74件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多の206件。時短要請は午後9時までに緩和されたが、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が105件。また工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が104件に達した。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が74件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が58件、食品製造業も38件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,159件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で413件(構成比35.6%)。次に、1千万円以上5千万円未満398件(同34.3%)、5千万円以上1億円未満194件(同16.7%)、10億円以上が80件(同6.9%)、5億円以上10億円未満が74件(同6.3%)の順。
 負債1億円未満が592件(同51.0%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も5件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,096件の形態別では、破産が962件(構成比87.7%)で最多。次いで民事再生法が62件(同5.6%)、取引停止処分が60件(同5.4%)、特別清算が7件、内整理が4件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,092件の従業員数の合計は1万5,730人にのぼった。
 1,092件の内訳では従業員5人未満が564件(構成比51.6%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が213件(同19.5%)、10人以上20人未満が159件(同14.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 一方、2月は従業員50名以上の破たんが4件、3月も5件発生しており、中堅規模以上のコロナ関連破たんが増加している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図20210329①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210329②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

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