• TSRデータインサイト

1月の電力価格高騰で約200億円の負担増=会社更生の新電力・F-Power

 3月24日、会社更生法を申請した新電力大手(株)F-Power(TSR企業コード:297969072、東京都港区)が東京地裁に提出した「会社更生申立書」を東京商工リサーチ(TSR)情報部が独自に入手した。
 負債総額は464億8537万円で、このうち197億円がインバランス料金(新電力が電力の調達不足に陥った場合、電力会社が補填した分のペナルティー料金)で占められていることがわかった。

  「会社更生申立書」によると、当社は販売拡大のための安売りと高コスト電力の購入拡大を通じて逆ざやが膨らみ、2018年6月期と2019年6月期に2期連続となる100億円超の赤字を計上した。こうしたなかで、2021年1月の電力市場調達価格の異常な高騰により同月の需要インバランス料金が約197億円に膨らんだ。

 インバランス料金の支払いは経済産業省による対応策に基づき、2021年4月から12月までの最大9カ月間にわたって均等分割支払いが許容された。しかし、仮にインバランス料金の支払いについて長期間の猶予等、救済措置がなされたとしても2021年6月期決算で債務超過になることは不可避で、信用を失い事業継続が不可能となるため、会社更生法を申請した。
 今後は早期にスポンサーを選定し、スポンサーの支援の下で適切な事業計画及び弁済計画を策定する。

 巨額に膨らんだインバランス料金は、当社に限ったことではない。分割返済が認められたとはいえ、新電力各社の資金負担は過大となっており、業界の今後の動向が注目される。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

2

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均1ドル=141.6円 前期比1.9円円高を想定、4期ぶり円安にブレーキ

主な株式上場メーカー98社の2025年度決算(2026年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=140円が48社(構成比48.9%)と約5割にのぼった。平均値は1ドル=141.6円で、前期に比べ1.9円の円高となった。

3

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

日産自動車の役員報酬1億円以上開示は5人 内田前社長の報酬額は3億9,000万円

 経営再建中の日産自動車が、2025年3月期決算の有価証券報告書を提出した。報酬額1億円以上の個別開示の人数は5人で、前年と同数だった。

5

  • TSRデータインサイト

2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分

2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、189件(前年比8.0%増)で、漏えいした個人情報は1,586万5,611人分(同61.2%減)だった。 事故件数は調査を開始した2012年以降、2021年から4年連続で最多を更新した。

TOPへ