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「新型コロナウイルス」関連破たん【3月16日16:00 現在】

 3月16日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が6件(倒産5件、弁護士一任・準備中1件)判明し、負債1000万円以上の累計は全国で1142件(倒産1060件、弁護士一任・準備中82件)となった。
 月別では2020年9月以降、11月まで3カ月連続で100件超え。12月、1月は2カ月連続で100件を下回ったが90件台と、引き続き高い水準で推移した。2月は月別最多の122件に達し、3月も16日時点で早くも84件が判明。2月の過去最多件数を上回る可能性が高まってきた。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1000万円未満の小規模倒産は累計54件判明。この結果、負債1000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1196件となった。
 1都3県の緊急事態宣言は期限通りの3月21日に解除されるか、注目が集まっている。解除の決定は感染者数の増減次第といえるが、下げ止まりの状況が続いている。事業活動の制限が続く飲食業など、事業環境の悪化が長引くなかで体力の乏しい中小企業の疲弊感が強まっている。
 息切れによる破たんに加え、先行き見通し難によるあきらめ型や、休業していた企業の債務整理などが進み、コロナ関連破たんはさらに増加する可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1000万円以上)~ 10都道府県で30件以上 ~

 都道府県別では、東京都が277件(倒産262件、準備中15件)に達し、全体の4分の1(構成比24.2%)を占め、突出している。以下、大阪府108件(倒産99件、準備中9件)、神奈川県58件(倒産55件、準備中3件)、愛知県が53件(倒産49件、準備中4件)、北海道が49件(倒産49件)、兵庫県が46件(倒産44件、準備中2件)と続く。
 16日は大阪府で2件、栃木県、埼玉県、長野県、京都府でそれぞれ1件ずつ判明した。都道府県別では10~20件未満が18府県、20~30件未満が3県、30件以上は10都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1000万円以上) ~ 飲食業が198件で突出、建設が100件に ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で198件に達した。緊急事態宣言の再延長で飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が103件。また工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が100件に達した。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が70件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が54件、食品製造業も37件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1120件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で398件(構成比35.5%)。次に、1千万円以上5千万円未満383件(同34.1%)、5千万円以上1億円未満187件(同16.6%)、10億円以上が78件(同6.9%)、5億円以上10億円未満が74件(同6.6%)の順。
 負債1億円未満が570件(同50.8%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も5件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1060件の形態別では、破産が931件(構成比87.8%)で最多。次いで民事再生法が60件(同5.6%)、取引停止処分が57件(同5.3%)、特別清算が7件、内整理が4件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1061件の従業員数の合計は1万5340人にのぼった。
 1061件の内訳では従業員5人未満が545件(構成比51.3%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が209件(同19.6%)、10人以上20人未満が156件(同14.7%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 一方、2月は従業員50名以上の破たんが4件、3月もすでに2件発生しており、中堅規模以上の企業の破たんが徐々に目立っている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0316以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図0316未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

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