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医療ベンチャー「テラ」に強制調査=金融商品取引法違反の疑い

 医療ベンチャー「テラ」に強制調査=金融商品取引法違反の疑い
 新型コロナウイルス」治療薬の開発を発表していたテラ(株)(TSR企業コード:296045896、新宿区、JASDAQ)は3月6日、金融商品取引法違反の疑いで強制調査を受けたことを明らかにした。取引先等が強制調査を受け、テラも関係先として強制調査を受けたとしている。

 テラは、樹状細胞ワクチンの研究開発などを手がける医療ベンチャー企業。2019年7月、有価証券報告書等の重要な事項の不記載で、証券取引等監視委員会による課徴金納付の勧告を受けている。

 テラは2020年4月27日、CENEGENICS JAPAN(株)(TSR企業コード:134023846、以下セネ社)と新型コロナウイルスに対する間葉系幹細胞を用いた治療法の開発に関する共同研究契約を締結、新薬開発を発表していた。この発表後、株価は同年4月24日の151円が同年6月9日には一時2175円まで高騰した。

 ところが、2020年10月に発表した第三者割当増資による資金調達が進まなかったほか、同年12月に開催されたテラの取締役会の審議内容がインターネット上に漏洩。さらに、2021年1月中旬以降も、関係者等の会話内容等がインターネット上で多数公開されていた。このため、テラは共同研究開発を発表していたセネ社の代表取締役で、テラの監査等委員(取締役)を務めていた藤森徹也氏に対し、「(取締役会の会話等に)重大な法令違反が疑われる内容が含まれていた」(テラ)として取締役の辞任勧告を決議していた。

 今年2月に発表した2020年12月期(連結)は、売上高7600万円(前期比62.2%減)と急減し、当期純利益は10億6700万円の赤字を計上。3月5日の株価は255円まで下落している。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年3月9日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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