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2020年度『後継者難』の倒産状況調査

 2020年度(20年4月‐21年3月)の『後継者難』倒産は、2月までの11カ月間で311件(前年同期比10.6%増、前年同期281件)に達した。調査を開始した2013年度以降、年度最多の2019年度(319件)を超えることが確実になった。
 2019年の経営者の平均年齢は62.16歳(前年61.73歳)まで上昇し、高齢化が顕著となっている。経営不振に陥った企業は、目先の資金繰りに忙しく事業承継が後回しで、後継者の育成が後手に回りやすい。このため、代表者の「死亡」や「体調不良」などが経営に直結するケースが増加している。
 また、2020年の休廃業・解散は過去最多の4万9,698件発生した。このうち、黒字企業が全体の6割(61.5%)を占めている。コロナ禍で先行きの見通しが立たない経営不振の企業に加え、黒字企業でも事業承継や後継者問題が経営上の大きな課題に浮上している。
 2020年4月から2021年2月までの11カ月間の『後継者難』倒産311件のうち、代表者の死亡は147件(前年同期比16.6%増)、体調不良は112件(同13.1%増)だった。この2要因で合計259件(同15.1%増)を数え、『後継者難』倒産の8割以上(構成比83.2%)を占めている。
 産業別では、最多が建設業の70件(前年同期比22.8%増)。次いで、サービス業他64件(同4.4%減)、卸売業53件(同15.2%増)と続く。
 中小企業の「社長不足」は深刻で、後継者難が倒産や廃業を加速させる懸念が高まっている。

  • 本調査は「人手不足」関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から、2020年度(2020年4月-2021年2月)の「後継者難」倒産を抽出し、分析した。

2020年度(4-2月)の『後継者難』倒産が311件

 新型コロナ感染拡大に伴う政府の資金繰り支援策が奏功し、企業倒産(負債1,000万円以上)は2020年4月-2021年2月の11カ月間で6,529件(前年同期比17.2%減、前年同期7,891件)と大幅に抑制されている。
 だが、同期間の『後継者難』倒産は311件(前年同期比10.6%増、前年同期281件)と急増し、全倒産に占める構成比も4.7%(前年同期3.5%)へ拡大している。
 コロナ禍で過剰債務を抱えた中小企業は多い。金融機関は中小企業の支援に際し、企業の将来性を判断する「事業性評価」をより重視するようになっているが、事業性評価では後継者の有無は大きな要素になっている。
 多くの中小企業は、代表者が経理や営業、人事など、あらゆる業務を担うことが多い。特に、資金調達面では個人保証しているケースが少なくない。このため、代表者の病気や体調不良が、経営や資金繰りに直結するなど、事業継続が大きな経営リスクになっている。

要因別 「死亡」と「体調不良」で8割以上

 『後継者難』倒産の要因別では、最多が代表者などの「死亡」の147件(前年同期比16.6%増、構成比47.2%)。次いで、「体調不良」が112件(同13.1%増、同36.0%)、「高齢」が27件(前年同期33件)と続く。
 代表者などの「死亡」と「体調不良」の合計は259件(前年同期225件)で、『後継者難』倒産に占める構成比は83.2%と、8割を超えた。
 中小企業では代表者の高齢化が進んでおり、事業承継や後継者の育成が経営課題になっている。

後継者難1

産業別 最多が建設業の70件

 10産業のうち、「情報通信業」「サービス業他」を除く8産業で、前年同期を上回った。
 最多が「建設業」の70件(前年同期比22.8%増、前年同期57件)だった。次いで、「サービス業他」が64件(同4.4%減、同67件)、「卸売業」が53件(同15.2%増、同46件)、「製造業」が44件(前年同期比10.0%増)、「小売業」が35件(同6.0%増)の順。
 業種別(件数10件以上)では、繊維・衣服等卸売業が前年同期比116.6%増(6→13件)、飲食料品卸売業が同70.0%増(10→17件)、飲食業が同21.0%増(19→23件)などで増加した。

形態別 9割以上が消滅型の破産

 形態別の最多は、破産の285件(前年同期比12.2%増、前年同期254件)。『後継者難』倒産に占める構成比は91.6%で、9割を超えた。
 また、特別清算が8件(同33.3%増、同6件)。
 消滅型の破産と特別清算の合計293件(同12.6%増、同260件)と、9割以上(構成比94.2%)を占めた。
 一方、再建型の民事再生法は1件(前年同期3件)、会社更生法はゼロで、後継者不在の企業は消滅型の破産を選択するケースが大半。

後継者難2

負債額別 負債1億円未満が約7割

 負債額別では、負債1億円未満が217件(前年同期比2.3%増、前年同期212件)だった。
 『後継者難』倒産に占める構成比は69.7%(前年同期75.4%)と、約7割が小・零細規模だった。
 内訳は、1千万円以上5千万円未満が157件(前年同期比2.6%増、前年同期153件)、5千万円以上1億円未満が60件(同1.6%増、同59件)だった。
 このほか、1億円以上5億円未満が85件(同39.3%増、同61件)、5億円以上10億円未満が5件(前年同期5件)、10億円以上が4件(同3件)だった。

資本金別 1千万円未満が5割超

 資本金別では、1千万円未満(個人企業他を含む)が173件(前年同期比2.9%増、前年同期168件)だった。
 『後継者難』倒産に占める構成比は55.6%(前年同期59.7%)で、前年同期より4.1ポイント低下した。
 内訳は、「1百万円以上5百万円未満」が85件(前年同期比8.6%減)、「5百万円以上1千万円未満」が48件(同20.0%増)、「個人企業他」が31件(同10.7%増)、「1百万円未満」が9件(前年同期7件)だった。
 このほか、「1千万円以上5千万円未満」が125件(前年同期比15.7%増)、「5千万円以上1億円未満」が10件(前年同期3件)。
 「1億円以上」は、1件(同ゼロ)だった。

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