• TSRデータインサイト

鳥貴族、3期連続の最終赤字へ=2度目の緊急事態宣言で再び失速

チキンバーガー専門店「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」を今年8月にオープン予定

 (株)鳥貴族ホールディングス(TSR企業コード: 571700365、東証1部)が3月5日、2021年7月期(連結)の最終利益が8億6100万円の赤字になりそうだと発表した。最終赤字となれば、3期連続と苦戦が続く。緊急事態宣言の再発令による時短営業が響いた。1月の全店売上高は昨年5月以来、8カ月ぶりに前年同月を7割以上落ち込んだ。再び失速が鮮明になった。

 2021年7月期(連結)の業績予想は、売上高227億6900万円、営業利益19億4100万円の赤字、当期純利益8億6100万円の赤字と3期連続の赤字を見込む。

 全店売上高は、昨年10月に前年同月比1割減(前年同月比9.8%減)まで回復していた。しかし、忘年会需要の消失などで12月は半減(同50.0%減)。緊急事態宣言が再発令された1月は7割減(同72.8%減)と大幅に減少した。最初の緊急事態宣言が発令された2020年5月(同87.9%減)以来、8カ月ぶりの落ち込みとなった。

 3月5日に発表した2021年7月期(非連結)中間決算(2020年8月-2021年1月)は、売上高108億3100万円(前年同期比37.8%減)、営業利益12億1700万円の赤字(前年同期13億5800万円の黒字)、最終利益8億2700万円の赤字(同7億8900万円の黒字)と赤字に転落した。

 2021年2月に持株会社に移行した鳥貴族。2019年7月期は実施した値上げが裏目に出て、2014年の上場以来、初めて最終利益が赤字に転落した。鳥貴族ブランドの再構築を進めていた矢先、新型コロナ感染拡大で2020年7月期も最終赤字に陥っていた。近畿3府県の緊急事態宣言は解除され、時短営業の要請が段階的に緩和されている。しかし、1都3県は2週間延長される見通しで、当面、外食産業は厳しい環境が続く。

 今後については、チキンバーガー専門店「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」を今年8月にオープン予定で、新規事業の創出・育成を進める。2024年7月期に売上高370億円を目標とする中期経営計画を策定した。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ