• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん【2月22日16:00 現在】

 2月22日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件(倒産4件、弁護士一任・準備中2件)判明し、第1号のコロナ関連破たんが発生した2020年2月からの累計は全国で1,033件(倒産955件、弁護士一任・準備中78件)となった。
 月別では2020年9月以降3カ月連続で100件を超えた。12月、1月は2カ月連続で100件を下回ったが90件台と、引き続き高い水準で推移。2月は22日までに97件に達し、2020年10月(105件)以来4カ月ぶりに前月超え、月別で最多を更新する発生ペースとなっている。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計49件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1,082件となった。
 緊急事態宣言の再発令の対象地域では飲食店の時短営業や、外出自粛要請による消費停滞などの影響が懸念される。
 新型コロナの影響が約1年と長期化し、中小企業の疲弊感は強まっている。支援策頼みで経営を維持している企業も多く、小・零細規模の息切れやあきらめ型の増加で、コロナ関連破たんは年度末を控えて増勢ピッチをあげる可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 北海道が40件に 9都道府県で30件以上 ~

 都道府県別では、東京都が251件(倒産232件、準備中19件)に達し、全体の4分の1(構成比24.2%)を占め、突出している。以下、大阪府101件(倒産93件、準備中8件)、神奈川県54件(倒産51件、準備中3件)、愛知県50件(倒産49件、準備中1件)、兵庫県44件(倒産41件、準備中3件)、北海道40件(倒産39件、準備中1件)と続く。
 22日は千葉県で2件、北海道、東京都、京都府、大阪府でそれぞれ1件ずつ判明した。都道府県別では10~20件未満が16府県、20~30件未満が3県、30件以上は9都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が180件、アパレル95件、建設89件、宿泊68件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業の180件が最多。緊急事態宣言の再発令で飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が95件。工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が89件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が68件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が50件、食品製造業も34件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,013件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で365件(構成比36.0%)。次に、1千万円以上5千万円未満339件(同33.4%)、5千万円以上1億円未満168件(同16.5%)、10億円以上が72件(同7.1%)、5億円以上10億円未満が69件(同6.8%)の順。
 負債1億円未満が507件(同50.0%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も5件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した955件の形態別では、破産が841件(構成比88.0%)で最多。次いで民事再生法が55件(同5.7%)、取引停止処分が52件(同5.4%)、特別清算が6件(同0.6%)、会社更生法が1件(同0.1%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した955件の従業員数の合計は1万4,146人にのぼった。
 955件の内訳では従業員5人未満が491件(構成比51.4%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が182件(同19.0%)、10人以上20人未満が144件(同15.0%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 一方、2月は従業員50名以上の破たんが3件発生しており、中堅規模以上の企業の破たんが目立っている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0219①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図0219②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ