• TSRデータインサイト

テレワークやオフィスカジュアル浸透でスーツや革靴の苦戦続く

新型コロナの収束見通せず、卒業や入学、入社式シーズンの影響懸念

 緊急事態宣言の延長でテレワークや在宅勤務が一般化し、ビジネスカジュアル文化の浸透などから紳士服や革靴の販売会社の業績が悪化している。2月5日、2020年4-12月(連結)を発表した紳士服大手の(株)AOKIホールディングス(TSR企業コード:292080697、東証1部)の純利益は114億4100万円の赤字、革靴大手の(株)リーガルコーポレーション(TSR企業コード:291143717、JASDAQ)も21億5300万円の赤字だった。
 AOKIHDとリーガルコーポレーションは2021年3月期(連結)の通期業績も赤字予想で、AOKIHDの通期純利益は53億5000万円の赤字、リーガルコーポレーションは同26億円の赤字と新型コロナの影響の長期化を見込んでいる。
 AOKIHDは、紳士服や結婚式場、複合カフェ、カラオケなどこれまで経営の多角化を進めてきた。Withコロナを見据え、EC強化やスーツに変わる商品戦略など対策を急ぐ。リーガルは、オンラインショップと実店舗の連携やオフィスカジュアルに対応したビジネスシューズの販売で巻き返しを図っている。
  AOKIHDの2020年4-12月(連結)は売上高946億7300万円(前年同期比25.5%減)、営業利益121億4100万円の赤字(前年同期9億3700万円の黒字)、純利益114億4100万円の赤字(同13億3900万円の赤字)だった。
 リーガルコーポレーションの同期(連結)は売上高139億2700万円(前年同期比36.1%減)、営業利益17億3100万円の赤字(同1億9400万円の赤字)、純利益21億5300万円の赤字(同3億1200万円の赤字)。
 これから、紳士服大手の第3四半期決算の発表が本格化し、業績動向が注目されている。


人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ