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「新型コロナウイルス」関連破たん【2月1日17:00 現在】

 2月1日は17時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が10件(倒産10件)判明し、2月からの累計は全国で946件(倒産871件、弁護士一任・準備中75件)となった。

 月別では、2020年9月以降3カ月連続で100件を超え、12月は100件を下回ったが96件と高止まりで推移。1月も93件と2カ月連続で100件を下回ったが、引き続き高水準で推移した。

 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計48件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計994件となった。コロナ関連破たんは2020年2月に第1号が発生して以降、1年間で1,000件に迫る水準にまで膨らんだ。

 緊急事態宣言の再発令は当初予定の2月7日の期限が延長される見通しが高い。対象地域では飲食店の時短営業が続き、外出自粛要請で消費停滞が広がり、仕入業者など関連業界への深刻な影響が懸念されている。

 感染防止のための難しい舵取りが続くが、消費関連のほか建設・製造業など、幅広い業種で企業の経営体力の剥落が懸念される。雇用調整助成金の特例措置も3月まで期限延長される見込みだが、一層の資金支援がなければ、疲弊した小・零細企業を中心にコロナ関連破たんは増加する可能性を残している。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 神奈川県で50件目、8都道府県で30件以上 ~

 都道府県別では、東京都が236件(倒産219件、準備中17件)に達し、全体の4分の1(構成比24.9%)を占め、突出している。以下、大阪府89件(倒産84件、準備中5件)、神奈川県50件(倒産47件、準備中3件)、愛知県(倒産42件、準備中1件)と兵庫県(倒産39件、準備中4件)がそれぞれ43件、北海道37件(倒産35件、準備中2件)と続く。
 1日は大阪府で4件判明したほか、福岡県で3件、新潟県、東京都、神奈川県でそれぞれ1件ずつ判明した。この結果、神奈川県が50件目が判明した。都道府県別では10~20件未満が14府県、20~30件未満が4県、30件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が167件、アパレル88件、建設79件、宿泊62件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業の167件が最多。緊急事態宣言の再発令で飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が88件。工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が79件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が62件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が46件、食品製造業も31件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した925件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で337件(構成比36.4%)。次に、1千万円以上5千万円未満304件(同32.8%)、5千万円以上1億円未満157件(同16.9%)、10億円以上が65件(同7.0%)、5億円以上10億円未満が62件(同6.7%)の順。
 負債1億円未満が461件(同49.8%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も5件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した871件の形態別では、破産が769件(構成比88.2%)で最多。次いで取引停止処分が49件(同5.6%)、民事再生法が47件(同5.3%)、特別清算5件(同2.5%)、会社更生法が1件(同0.1%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した868件の従業員数の合計は1万3,356人にのぼった。
 868件の内訳では従業員5人未満が439件(構成比50.5%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が167件(同19.2%)、10人以上20人未満が134件(同15.4%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下で、1月も1件の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0201①

‌                (負債1,000万円以上)                  

日本地図0201②

‌                (負債1,000万円未満を含む)                      

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