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「新型コロナウイルス」関連破たん【1月28日16:00 現在】

 1月28日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が2件(倒産2件)判明し、2月からの累計は全国で927件(倒産853件、弁護士一任・準備中74件)となった。

 月別では、103件発生した6月以来、7月、8月は前月を下回ったが、9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、以降11月まで3カ月連続で100件を上回った。12月は100件を下回ったが96件と高止まりで推移。1月も28日時点で84件が判明し、前月並みの水準が見込まれる。

 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計46件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計973件となった。

 緊急事態宣言の再発令から3週間が経過した。対象地域では飲食店の時短営業が続き、外出自粛要請で消費停滞が広がり、仕入業者など関連業界への深刻な影響が懸念されている。

 感染防止のための難しい舵取りが続く一方、消費関連をはじめ建設業や製造業など、幅広い業種で事業環境の悪化が長引き、企業の経営体力の剥落が懸念される。雇用調整助成金の特例措置は3月まで期限延長される見込みだが、一層の資金支援がなければ新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 8都道府県で30件以上 ~

 都道府県別では、東京都が232件(倒産215件、準備中17件)に達し、全体の4分の1(構成比25.0%)を占め、突出している。以下、大阪府84件(倒産80件、準備中4件)、神奈川県49件(倒産46件、準備中3件)、愛知県43件(倒産42件、準備中1件)、兵庫県42件(倒産38件、準備中4件)、北海道36件(倒産35件、準備中1件)と続く。
 28日は東京都と兵庫県でそれぞれ1件ずつ判明した。この結果、都道府県別では10~20件未満が14府県、20~30件未満が4県、30件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が163件、アパレル87件、建設76件、宿泊61件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業の163件が最多。緊急事態宣言の再発令で飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が87件。工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が76件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が61件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が46件、食品製造業も31件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した908件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で332件(構成比36.5%)。次に、1千万円以上5千万円未満294件(同32.3%)、5千万円以上1億円未満155件(同17.0%)、10億円以上が65件(同7.1%)、5億円以上10億円未満が62件(同6.8%)の順。
 負債1億円未満が449件(同49.4%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も5件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した853件の形態別では、破産が754件(構成比88.3%)で最多。次いで民事再生法と取引停止処分がそれぞれ47件(同5.5%)、特別清算4件(同0.4%)、会社更生法が1件(同0.1%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した855件の従業員数の合計は1万3,319人にのぼった。
 855件の内訳では従業員5人未満が428件(構成比50.0%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が165件(同19.2%)、10人以上20人未満が134件(同15.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0128①

‌                (負債1,000万円以上)                  

日本地図0128②

‌                (負債1,000万円未満を含む)                      

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