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2020年「上場企業」倒産状況(速報値:12月29日15時現在)

 

 2020年の上場企業の倒産は2件(前年1件)で、2017年から4年連続で発生した。複数件数の発生は2017年(2件)以来、3年ぶり。

5月にアパレル製品販売の(株)レナウン(東京、東証1部、民事再生法)、9月にコンテンツ事業などの(株)Nuts(東京、JASDAQ、破産)が倒産した。

2社の負債合計は143億8,800万円だった。上場企業の年間倒産の負債合計は1991年以降の30年間で、倒産がなかった2014年と2016年を除き、2019年の19億5,900万円に次ぐ、2番目の低水準。

上場企業の倒産は、『昭和』が95件(判明分)、リーマン・ショック、東日本大震災が起きた『平成』は1991年8月の(株)マルコー(東京、店頭、会社更生)から2019年1月の(株)シベール(山形、JASDAQ、民事再生)まで234件。『令和』は、2020年5月のレナウンが初の倒産。

レナウンは、新型コロナ感染拡大の影響や親会社の関連会社から売掛金の回収が遅れ、子会社から民事再生法の適用を申し立てられた。Nutsは、決算発表を延期するなか、取締役が破産を申し立てた。2020年に倒産した上場企業は、2社とも債権者から裁判所に法的手続きを申し立てられる異例な倒産劇となった。

30年間で上場企業倒産は236件、負債総額は21兆9,250億円

 2020年は、5月に子会社から民事再生法を申し立てられ、開始決定を受けた(株)レナウン(負債138億7,900万円、東京、東証1部)と、9月に取締役から破産を申し立てられ、開始決定を受けた(株)Nuts(同5億900万円、東京、JASDAQ)の2件だった。 1991年以降、30年間に倒産した上場企業の累計は236件(負債合計21兆9,250億円)に達した。

上場企業倒産推移201229

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