• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん【12月23日16:00 現在】

 12月23日は16時時点で、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件(倒産3件、弁護士一任・準備中1件)判明し、2月からの累計は全国で818件(倒産752件、弁護士一任・準備中66件)となった。

 月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、以降11月まで3カ月連続で100件を上回った。

 12月は23日までに71件が判明、引き続き月間100件前後の高いペースで推移している。

 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計41件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計859件に到達した。

 感染再拡大に歯止めがかからない状況が続き、医療体制のひっ迫も懸念されている。こうしたなかで「GoToトラベル」キャンペーンは全国で一時停止が決定。また、酒を提供する飲食店などへの時短営業要請なども広がり、忘・新年会需要も激減している。

 年末年始の書き入れ時を前に経営体力の乏しい飲食業者などへの影響が懸念される。感染拡大防止との難しい舵取りが続くなか、コロナ関連破たんは引き続き予断を許さない状況となっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 6都道府県で30件以上 ~

 都道府県別では、東京都が198件(倒産183件、準備中15件)で、全体の2割以上(構成比24.2%)を占め、突出している。以下、大阪府が79件(倒産75件、準備中4件)、神奈川(倒産34件、準備中4件)と兵庫県(倒産34件、準備中4件)がそれぞれ38件、愛知県が36件(倒産35件、準備中1件)、北海道が34件(倒産34件)と続く。
 22日は青森県、岩手県、愛媛県、大分県でそれぞれ1件ずつ判明した。都道府県別では10~20件未満が13府県、20~30件未満が4県、30件以上は6都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が138件、アパレル関連80件、宿泊業60件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が138件と最多。来店自粛や特定業種への時短営業要請などの影響で、今後の推移に注目が集まる。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が80件に達した。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業は60件。
 以下、工事計画の見直しなど影響を受けた建設業が62件にのぼるほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が40件、食品製造業も28件と多く、飲食業界の不振が影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した798件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で302件(構成比37.8%)。次に、1千万円以上5千万円未満251件(同31.4%)、5千万円以上1億円未満128件(同16.0%)、10億円以上59件(同7.3%)、5億円以上10億円未満58件(同7.2%)の順。
 負債1億円未満が379件(同47.4%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した752件の形態別では、破産が666件(構成比88.5%)で最多。次いで民事再生法が43件(同5.7%)、取引停止処分40件(同5.3%)、特別清算3件(同0.3%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した756件の従業員数の合計は1万2,409人にのぼった。
 756件の内訳では従業員5人未満が370件(構成比48.9%)と、半数近くを占めた。次いで、5人以上10人未満が148件(同19.5%)、10人以上20人未満が121件(同16.0%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図1223①

‌                (負債1,000万円以上)                  

日本地図1223②

‌                (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ