• TSRデータインサイト

第11回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査

新型コロナウイルス感染拡大の第三波が、踏ん張ってきた企業活動に再び影を落としている。
 11月の売上高が前年同月(2019年11月)より落ち込んだ企業の割合(減収企業率)は、中小企業で72.1%だった。10月は68.6%に改善したが、11月は再び悪化に転じた。
 コロナ禍の収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性のある企業の割合(廃業検討率)は、中小企業で8.0%だった。11月は7.6%だったが、再び8%台となった。このうち、43.4%の企業は廃業を検討する時期を「1年以内」と回答。コロナ禍で、事業継続と不安定な業績のはざまで経営者心理が揺れ動いている。
 今冬のボーナス支給額が前年より「減少した」と回答した企業は7割弱(66.3%)に達した。また、2月の新型コロナ感染拡大以降、人員削減を「実施した」企業は5.6%、「今後、実施する予定」は3.5%で、合計1割近い企業が人員削減への取り組みを模索している。
 従業員の可処分所得の落ち込みや雇用環境の悪化は、耐久消費財の買い控えやレジャー、遊興費の削減など、消費低迷に直結する。企業の資金繰り支援と同時に、感染拡大に最大限の留意をしながら消費喚起への働き掛け、そして雇用対策など、コロナ禍に対して多様な経済的取り組みが必要になっている。

  • 2020年12月1日~9日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答1万657社を集計、分析した。
    前回(第10回)の「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査は、11月25日発表。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

本調査結果の詳細はPDFファイルをご覧ください。

第11回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査[PDF:1.20MB]PDFファイルへのリンクです。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ