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「新型コロナウイルス」関連破たん状況(11月10日午前11時時点)

674件
(倒産612件、弁護士一任・準備中62件)
参考:負債1,000万円未満 29件

  •                ※企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
  •                ※原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の
  •                  言質が取れたものなどを集計している。
  •                ※東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

 11月10日午前11時までに判明した「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、2月からの累計が全国で674件(倒産612件、弁護士一任・準備中62件)に達した。
 月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件と3カ月ぶりに前月を上回り、10月は105件で単月での最多件数を更新した。
 11月は10日までで28件が判明、月間100件ペースと引き続き高い水準で推移しており、企業業績が回復しないなかで、息切れを中心にコロナ破たんの増勢が鮮明になっている。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計35件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計709件となった。
 新型コロナ対応の追加融資やリスケの見直しなどが本格化してきた。感染者数の再拡大とともに事業環境の悪化が長引き、政府や自治体による資金繰り支援の息切れも指摘される一方、追加融資を続ければ将来の過剰債務にも繋がりかねない。
 体力の乏しい小・零細企業を中心に脱落ペースの加速が懸念されるなかで、新たな支援策のあり方が課題となっている。

コロナ破たん1

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 東京が151件で突出、20件以上は全国9都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が151件(倒産141件、準備中10件)で、全体の2割以上(構成比22.4%)を占め、突出している。以下、大阪府が69件(倒産63件、準備中6件)、北海道32件(倒産32件)、兵庫県30件(倒産25件、準備中5件)、神奈川県(倒産24件、準備中5件)と愛知県(倒産28件、準備中1件)がそれぞれ29件と続く。
 10日は東京都、静岡県、大分県でそれぞれ1件判明した。都道府県別では10~20件未満が9県、20件以上は9都道府県に広がっている。

コロナ破たん2

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が114件、アパレル関連67件、宿泊業55件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が114件と最多。小規模事業者の破たんの増加ペースが鈍らず、突出している。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が67件と再び増勢が強まっている。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が55件と続く。
 工事計画の見直しなど影響を受けた建設業が42件にのぼるほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が34件、食品製造業も27件と多く、飲食業界の需要減が影響している。

コロナ破たん3

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した654件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で249件(構成比38.0%)。次に、1千万円以上5千万円未満193件(同29.5%)、5千万円以上1億円未満109件(同16.6%)、5億円以上10億円未満が53件(同8.1%)、10億円以上が50件(同7.6%)の順。
 負債1億円未満が302件(同46.1%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産は累計3件発生し、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した612件の形態別では、破産が544件(構成比88.8%)で最多。次いで、民事再生法が35件(同5.7%)、取引停止処分31件(同5.0%)、特別清算2件(同0.3%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。なお、9月以降に発生した民事再生5件はいずれも個人企業の小規模個人再生によるもの。
 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した625件の従業員数の合計は1万1,468人にのぼった。
 625件の内訳では従業員5人未満が291件(構成比46.5%)と、半数近くを占めた。次いで、5人以上10人未満が125件(同20.0%)、10人以上20人未満が100件(同16.0%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50名以上の破たんは8月以降11月までで、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

コロナ破たん4

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