• TSRデータインサイト

2020年度上半期(4-9月)「人手不足」関連倒産

 2020年度上半期(4-9月)の「人手不足」関連倒産は、215件(前年同期比4.8%増)だった。年度上半期では2018年度同期以来、2年ぶりに前年同期を上回った。ただ、四半期別では、1-3月145件(前年同期92件)、4-6月109件(同98件)、7-9月106件(同107件)と、徐々に減少ヘ転じた。
 新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞し、人手不足感が一気に薄れて「人手不足」関連倒産は「求人難」や「従業員退職」が落ち着きをみせた。ただ、そうしたなかで後継者不在の企業がコロナ禍で事業承継を諦めた「後継者難」は唯一増勢を維持し、「人手不足」関連倒産は新たな段階に入っている。


2020年度上半期、「後継者難」のみ増加、「求人難」と「人件費高騰」は半減

 2020年度上半期(4-9月)の「人手不足」関連倒産は215件(前年同期比4.8%増)で、2018年度同期以来、2年ぶりに前年同期を上回った。年度上半期では、2018年度同期(219件)に次ぐ、2番目の高水準となった。
 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」が173件(前年同期124件)、中核社員の独立、転職などで事業継続が困難になった「従業員退職」が20件(同28件)、人手不足で事業継続に支障を来した「求人難」が15件(同39件)、賃金等の人件費アップから収益が悪化した「人件費高騰」が7件(同14件)だった。
 「後継者難」だけが増加し、「求人難」は61.5%減、「人件費高騰」は50.0%減と半分以下に減少した。

産業別 サービス業他が最多

 2020年度上半期の産業別では、最多が介護関連業種や飲食業を含むサービス業他の50件(前年同期比26.4%減)。次いで、建設業42件(同23.5%増)、卸売業31件(同55.0%増)、製造業(同16.6%増)と小売業(同40.0%増)が各28件、運輸業11件(同42.1%減)と続く。

2020年度上半期の地区別、9地区中4地区で増加

 2020年度上半期の地区別は、全国9地区のうち、北海道(7→18件)、中国(11→24件)、北陸(3→4件)、関東(75→78件)の4地区で前年同期を上回った。
 一方、四国(10→6件)をはじめ、東北(16→11件)、中部(24→19件)、九州(33→30件)、近畿(26→25件)の5地区で減少した。

都道府県別、最多は東京35件

 都道府県別では、東京35件(前年同期34件)、北海道18件(同7件)、福岡14件(同16件)、広島12件(同5件)、愛知11件(同9件)、新潟(同ゼロ)と兵庫(同6件)が各10件の順だった。

9月は5カ月ぶりに前年同月を上回る

 2020年9月の「人手不足」関連倒産は、42件(前年同月比20.0%増、前年同月35件)で、4月以来、5カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳は、「後継者難」が34件(前年同月27件)、「求人難」が1件(前年同月同数)、「従業員退職」が6件(前年同月4件)、「人件費高騰」が1件(同3件)。

9月の産業別 サービス業他が最多

 9月の産業別では、サービス業他9件(前年同月同数)が最多。次いで、卸売業8件(前年同月ゼロ)、建設業(同3件)と製造業(前年同月同数)が各6件、小売業4件(前年同月7件)、農・林・漁・鉱業(前年同月同数)と運輸業(前年同月6件)が各3件の順。
 地区別では、関東16件(同9件)が最多。次いで、九州8件(同6件)、北海道(同1件)と近畿(同6件)が各5件、中国3件(同2件)、東北(同3件)と四国(同3件)が各2件、中部1件(同4件)。北陸(同1件)は発生しなかった。

人手不足

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ