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「新型コロナウイルス」関連破たん状況【8月31日17:00 現在】

 8月31日は17時までに、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が2件(倒産1件、弁護士一任・準備中1件)発生、2月からの累計は、全国で441件(倒産387件、弁護士一任・準備中54件)に達した。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満のコロナ関連の小規模倒産は18件判明している。
 月別推移では2月2件、3月22件から4、5月は80件台に急増した。6月は単月最多の103件が発生したが、7月は80件と減少。8月は31日までに67件と、前月を下回った。

 緊急融資や金融機関・取引先のリスケ対応などの各種支援が効果を見せ、コロナ破たんの大幅な増加という事態は避けられている。ただ、支援に依存しながら経営を維持している企業は多く、悪影響が長引けば長引くほど、事業環境の悪化に耐えきれず体力の乏しい企業から脱落は避けられない。引き続き、コロナ関連破たんの動向は予断を許さない状況が続いている。

【都道府県別】 ~ 高知県を除く46都道府県で発生、東京都が111件で突出 ~

 都道府県別では高知県を除く46都道府県で発生している。
 このうち、東京都が111件(倒産101件、準備中10件)に達し、全体の4分の1(構成比25.1%)と突出。以下、大阪府42件(倒産35件、準備中7件)、北海道25件(倒産25件)、愛知県21件(倒産20件、準備中1件)と続き、10件以上の発生は11都道府県。
 31日は、岐阜県の温泉旅館経営会社が破たんした。インバウンド需要を取り込み、近年は外国人観光客の利用も多かった。しかし、新型コロナによる渡航制限措置などの影響を受け、キャンセルが相次いだことで休業を余儀なくされ、事業継続のめどが立たなくなった。

【業種別】 ~ 飲食業が65件で最多、アパレル関連51件、宿泊業44件で続く ~

 業種別では来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が65件で最多。次いで百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が51件、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が44件と、3業種が突出している。このほか、飲食業者向けなどの売上減少が影響した飲食料品卸売業も24件発生している。

【負債額】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した387件のなかで負債が判明した386件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で156件(構成比40.4%)。次に、1千万円以上5千万円未満97件(同25.1%)、5千万円以上1億円未満58件(同15.0%)、10億円以上43件(同11.1%)、5億円以上10億円未満32件(同8.2%)の順。
 負債1億円未満が155件(同40.1%)を占める。一方で、100億円以上の大型倒産も3件発生し、小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の経営破たんが広がっている。  

【形態別】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した387件の形態別では、破産が338件(構成比87.3%)で最多。次いで、民事再生法が30件(同7.7%)、取引停止処分19件(同4.9%)だった。
 「新型コロナ」関連倒産の8割以上を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。
 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


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