• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん状況【8月18日17:00 現在】

 8月18日は17時までに、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件(倒産4件)発生、2月からの累計は、全国で420件(倒産357件、弁護士一任・準備中63件)に達した。 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満のコロナ関連の小規模倒産は13件判明している。
 月別推移では2月2件、3月22件から4、5月は80件台に急増した。6月は単月最多の103件が発生したが、7月は80件とやや減少。8月は18日までに46件と、ほぼ同水準のペースで発生している。

 感染者数の高止まりが続くなか、感染防止に備えた営業時間の短縮や、外出自粛による消費の落ち込みが深刻化し、企業業績への影響が懸念される。
 緊急融資や金融機関のリスケ対応など各種の支援に依存しながら経営を維持している企業は多い。影響が長引けば長引くほど、事業環境の悪化に耐えきれない脱落型のコロナ関連破たんが増加する可能性が高まっている。

【都道府県別】 ~ 高知県を除く46都道府県で発生、東京都が109件で突出 ~

 都道府県別では高知県を除く46都道府県で発生している。
 このうち、東京都が109件(倒産92件、準備中17件)に達し、全体の4分の1(構成比25.9%)と突出している。以下、大阪府41件(倒産34件、準備中7件)、北海道22件(倒産21件、準備中1件)、愛知県20件(倒産19件、準備中1件)と続き、10件以上の発生は10都道府県となっている。18日は東京都と大阪府で1件発生したほか、兵庫県(同17件)、静岡県(同16件)でそれぞれ1件発生した。

【業種別】 ~ 飲食業が64件で最多、アパレル関連50件、宿泊業41件で続く ~

 業種別では来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が64件で最多。次いで百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が50件、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が41件と、3業種が突出している。このほか、飲食業者向けなどの売上減少が影響した飲食料品製造業も23件発生している。

【負債額】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した357件のなかで負債が判明した354件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で143件(構成比40.3%)。次に、1千万円以上5千万円未満87件(同24.5%)、5千万円以上1億円未満52件(同14.6%)、10億円以上42件(同11.8%)、5億円以上10億円未満30件(同8.4%)の順。
 負債1億円未満が139件(同39.2%)を占める。一方で、100億円以上の大型倒産も3件発生し、小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の経営破たんが広がっている。   

【形態別】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した357件の形態別では、破産が309件(構成比86.5%)で最多。次いで、民事再生法が30件(同8.4%)、取引停止処分18件(同5.0%)だった。
 「新型コロナ」関連倒産の8割以上を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。
 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージを受け、脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0818

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ