• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん状況【8月14日17:00 現在】

 8月14日は17時までに、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が3件(倒産1件、弁護士一任・準備中2件)発生、2月からの累計は、全国で413件(倒産349件、弁護士一任・準備中64件)に達した。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満のコロナ関連の小規模倒産は12件判明している。
 月別推移では2月2件、3月22件から4、5月は80件台に急増した。6月は単月最多の103件が発生したが、7月は80件とやや減少。8月は14日までに39件と、ほぼ同水準のペースで発生している。

 お盆休みの時期を迎えたが、感染者数の高止まりに歯止めがかからず、企業業績への影響が懸念されている。時短営業や来店客の減少に苦慮する飲食業などのサービス業は深刻な状況だ。
 各種の支援に依存しながら経営を維持している企業は多い。影響が長引けば長引くほど経営環境の悪化に耐えきれず、脱落型のコロナ関連破たんが増加する可能性が高まっている。

【都道府県別】 ~ 高知県を除く46都道府県で発生、東京都が107件で突出 ~

 都道府県別では高知県を除く46都道府県で発生している。
 このうち、東京都が107件(倒産90件、準備中17件)に達し、全体の4分の1(構成比25.9%)と突出している。以下、大阪府40件(倒産33件、準備中7件)、北海道22件(倒産21件、準備中1件)、愛知県20件(倒産19件、準備中1件)と続き、10件以上の発生は10都道府県となっている。13日は東京都で1件、茨城県で1件、佐賀県で1件発生し、関東地区で160件(構成比38.7%)と約4割を占めた。

【業種別】 ~ 飲食業が63件で最多、アパレル関連50件、宿泊業41件で続く ~

 業種別では来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が63件で最多。次いで百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が50件、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が41件と、3業種が突出している。このほか、飲食業者向けなどの売上減少が影響した飲食料品製造業も23件発生している。

【負債額】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した349件のなかで負債が判明した348件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で142件(構成比40.8%)。次に、1千万円以上5千万円未満85件(同24.4%)、5千万円以上1億円未満50件(同14.3%)、10億円以上42件(同12.0%)、5億円以上10億円未満29件(同8.3%)の順。
 負債1億円未満が135件(同38.7%)を占める。一方で、100億円以上の大型倒産も3件発生し、小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の経営破たんが広がっている。 

【形態別】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した349件の形態別では、破産が302件(構成比86.5%)で最多。次いで、民事再生法が30件(同8.5%)、取引停止処分17件(同4.8%)だった。
 「新型コロナ」関連倒産の8割以上を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。
 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージを受け、脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなった。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0814

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ