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「新型コロナウイルス」関連破たん状況【8月5日17:00 現在】

 8月5日は17時までに、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が5件(倒産5件)発生、2月からの累計は396件(倒産335件、弁護士一任・準備中61件)に達した。なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産が12件判明している。
 月別推移では2月2件、3月22件から4、5月は80件台に急増した。6月は単月最多の103件が発生したが、7月は80件とやや減少。8月は5日までに22件が発生している。
 都市圏を中心に感染者数が高止まりし、流動的な状況が続く。夏休みの行楽や帰省シーズンを迎えたものの、移動や外出の自粛などで観光や消費関連産業への影響も懸念される。各種支援で踏みとどまっている中小企業は多く、疲弊した企業の脱落が今後も散発する可能性が高い。

【都道府県別】 ~ 東京都が100件に 、10件以上発生は10都道府県~

 都道府県別では和歌山、高知の2県を除く45都道府県で発生している。このうち、東京都が100件(倒産87件、準備中13件)に達し、件数では突出。次いで、大阪府38件、北海道22件、愛知県20件と続き、10件以上の発生は10都道府県となっている。

【業種別】 ~ 飲食業が59件で最多、アパレル関連50件、宿泊業40件で続く ~

 業種別は、来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が59件で最多。次いで百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が50件、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が40件と、3業種が突出している。

【負債額】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した335件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で134件(構成比40.0%)。次いで、1千万円以上5千万円未満81件(同24.1%)、5千万円以上1億円未満が49件(同14.6%)、10億円以上が42件(同12.5%)、5億円以上10億円未満が29件(同8.6%)の順。
 負債1億円未満が130件(同38.8%)を占める。一方で、100億円以上の大型倒産も3件発生し、小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の経営破たんが広がっている。 

【形態別】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した335件の形態別では、破産が289件(構成比86.2%)で最多。次いで、民事再生法が30件(同8.9%)、取引停止処分16件(同4.7%)だった。
 「新型コロナ」関連倒産の8割以上を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。
 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージを受け、回復の見込みが立たずに脱落したケースが大半となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


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