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東京都「新型コロナウイルス」関連破たん状況【8月4日12:00 現在】

 東京都内で発生した「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は8月4日12時までに累計100件(倒産87件、弁護士一任・準備中13件)に達した。
 東京都のコロナ関連破たんは3月に1件発生して以降、4月に24件と急増した。その後は5月(16件)、6月(33件)、7月(19件)と推移し、8月はすでに7件が発生した。全国で発生したコロナ関連破たん(8月3日現在385件)の約4分の1を占める。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は都内で3件判明している。

 7月中旬以降、都内のコロナ感染者数は再び増加をみせ、高止まりの状況が続いている。こうしたなかで、都は飲食店などへの営業時間の短縮要請に踏み切り、企業活動へのさらなる影響が懸念されている。
 政府や金融機関などの資金繰り支援に依存したぎりぎりの経営を続けている企業は多く、コロナ関連破たんは、疲弊した企業の脱落を中心に当面、高水準で推移する可能性が高い。

【業種別】~ 飲食業とアパレル関連が突出 ~

 業種別は、来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が15件で最多だった。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連業種が13件(卸売業7件、小売業6件)、建設業が6件、ホテル,旅館が4件と続く。
 営業自粛要請に伴う臨時休業や廃業を余儀なくされた飲食業者が筆頭だったほか、大型倒産となったレナウンやキャスキッドソンジャパンなど、消費増税や暖冬による不振に新型コロナが追い打ちとなったアパレル。インバウンドの消失や外出自粛の影響が直撃した宿泊関連など消費に絡む業種が多い。

【負債額】

 「新型コロナ」関連破たん100件のうち、倒産した87件の負債額別では、最多が1千万円以上5千万円未満で29件(構成比33.3%)だった。
 次いで1億円以上5億円未満で27件(同31.0%)、10億円以上が14件(同16.0%)、5千万円以上1億円未満が9件(同10.3%)、5億円以上10億円未満が8件(同9.1%)の順。
 負債1億円未満が38件(同43.6%)を占める。一方で、50億円以上の大型倒産も3件発生し、小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の経営破たんが広がっている。 

【形態別】

 「新型コロナ」関連破たん100件のうち、倒産した87件の形態別では、破産が77件(構成比88.5%)で最多。次いで、民事再生法が5件(同5.7%)、取引停止処分5件(同5.7%)だった。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。
 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージを受け、回復の見込みが立たずに脱落したケースが大半となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


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