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「廃業に関するアンケート」調査(速報)

 「新型コロナウイルス」感染拡大が、企業存続にも影響を及ぼしつつある。東京商工リサーチが実施中のアンケート調査の中間集計で、「新型コロナ」終息が長引くと「廃業を検討する可能性がある」と回答した中小企業の割合(以下、廃業検討率)が7.7%にのぼった。
 「平成28年経済センサス-活動調査」によると、中小企業数は357万8,176社(個人企業含む)を数える。単純計算では、27万6,000社近くの中小企業が廃業を検討していることになる。
 また、廃業検討の可能性を示した中小企業のうち、廃業時期を「1年以内」とした回答が約半数(45.1%)を占めた。新型コロナの終息次第だが、今後1年以内に中小企業の約12万4,000社が廃業を決断する可能性も出てきた。

  • 本調査は、2020年7月29日からインターネットを通じて実施しているアンケートの調査で、7月31日14時までに寄せられた6,638社の回答を中間集計した。
  • 資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。
  • 本調査の中小企業の定義と「経済センサス」の定義とは異なる。

Q1. コロナ禍の終息が長引いた場合、「廃業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性はありますか?(択一回答)

中小企業の「廃業検討率」7.7%
 「ある」は6.6%(6,638社中、438社)、「ない」は93.4%(6,200社)だった。
 規模別でみると、大企業(資本金1億円以上)で「ある」と回答した企業は0.8%(1,087社中、9社)にとどまったのに対し、中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)では7.7%(5,551社中、429社)で、9倍以上の開きがあった。

Q2.Q1で「廃業」を検討する可能性が「ある」と回答された方に伺います。検討するのは、いつ頃ですか?

「1年以内」、中小企業では45.1%
 Q1で「ある」と回答した企業のうち436社から回答を得た。
 「1年以内」は44.9%(196社)だった。規模別では、大企業の「1年以内」は33.3%(9社中、3社)だったのに対し、中小企業では45.1%(427社中、193社)だった。

廃業アンケート1

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