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上場企業「新型コロナウイルス影響」調査

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、業績を下方修正した上場企業が7月28日までに1,000社に達した。上場企業3,789社の26.3%で、4社に1社が新型コロナで業績を下方修正した。
業績の下方修正分の合計は、売上高が7兆6,628億円、最終利益が4兆2,853億円に達した。
また、下方修正した1,000社のうち、286社が赤字を計上した。
新型コロナの影響による売上高、利益の下方修正は1月30日に日本ゼオン(株)(東証1部)が初めて公表、3月26日に売上高マイナス分が1兆円を突破した(135社、売上高▲1兆1,944億円、利益▲1兆1,177億円)。その後も下方修正を開示する企業が続き、6カ月の間で社数だけでなく下方修正額も、加速度的に膨らんだ。
業種別で、下方修正の最多はグローバル展開し、サプライチェーンや世界的な市況減退が懸念される製造業だった。次いで、外出自粛や臨時休業・営業時間短縮による個人消費の急減が直撃したサービス業、小売業の順で、上位3業種が約7割を占め、新型コロナのインパクトの大きさを物語っている。

  • 2020年1月以降、適時開示で「業績予想の修正」や「従来予想と実績との差異」などで、業績の下方修正を開示した上場企業のうち、新型コロナの影響を理由としたものを抽出し、集計した。
    全決算期を対象として集計。従来予想を一旦取り下げ、「未定」とした場合は社数のみをカウントした。ただ、一度 新型コロナによる影響を理由として下方修正した上で、それを取り下げたケースは下方修正分を集計した。。

売上の下方修正、最大はキヤノンの6,200億円 1,000億円超は17社

 売上高の下方修正額の最大はキヤノン(東証1部、2020年12月期)で、当初予想から6,200億円引き下げた。同社は4月23日に新型コロナの収束時期の見通しが立たず「業績予想の合理的な算定が困難」として従来予想を一旦取り下げた。その後、7月28日に再び業績予想を公表し、事業環境悪化による大幅な業績ダウンの見通しを明らかにした。
次いで、原油・ガス開発最大手の国際石油開発帝石(東証1部、2020年12月期)、石油元売り大手のJXTGホールディングス(東証1部、現:ENEOSホールディングス、2020年3月期)とエネルギー関連が続く。4位は国内外の「ユニクロ」の店舗休業で2度の下方修正を公表したファーストリテイリング(東証1部、2020年8月期)。売上下方修正額の上位には業界大手が並び、売上高の見通しを1,000億円以上引き下げた企業は17社だった。
利益面は、2020年3月期決算で従来予想と実績値の差異を公表した日産自動車(東証1部)のマイナス幅が最大。新型コロナによる収益悪化に加え、資産の減損損失などもかさみ、前回予想を7,362億円引き下げ、6,712億円の最終赤字に転落した。このほか、原油価格の大幅下落に伴う在庫評価損などで、大手商社などが軒並み利益の大幅下方修正を公表した。
1,000社のうち、178社(構成比17.8%)が従来の業績予想を一旦取り下げ、「未定」に修正した。事業環境の急激な悪化で数値見通しが立たないケースが中心で、今後の不透明感とともに、業績への悪影響が深刻さを増している。

業績下方修正額の推移(累計)

造業、サービス業、小売業で約7割

 業績の下方修正企業の業種別では、製造業が396社(構成比39.6%)で約4割を占めた。製造拠点を置く中国での混乱に始まり、サプライチェーンの乱れなどがあったほか、感染が世界中に拡大するに連れて世界的な景気停滞に伴う市場の縮小予測など、多大な影響が及んだ。
次いで、インバウンド需要消失、緊急事態宣言に伴う休業や外出・移動の自粛に伴う国内消費の落ち込みの影響を受けたサービス業の181社(同18.1%)、小売業の151社(同15.1%)と消費関連の業種が続く。
特に、店舗を持つ企業は収益見通しの低下に伴う減損計上などで、さらに利益を押し下げた。
製造・サービス・小売の上位3業種で、728社(同72.8%)と約7割を占めた。

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