• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん状況【7月6日17:00 現在】

  7月6日は17時までに、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が2件(倒産1件、弁護士一任・準備中1件)発生した。この結果、2月からの累計は全国で311件(倒産244件、弁護士一任・準備中67件)に達した。2月2件、3月22件から4月、5月は80件台に急増。6月は単月最多の103件が発生し、7月も6日までに17件と高水準で推移している。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小・零細企業・商店の倒産は7件判明している。水面下では、制度融資や支援策などを活用せずに休業状態に陥ったケースもあり、今後は「経営破たん」に加え、「休廃業」の動向にも目が離せない。

【都道府県別】 ~ 大阪で30件目のコロナ破たん発生 ~

 都道府県別は和歌山、鳥取、高知の3県を除く44都道府県で発生。東京都が75件(倒産67件、準備中8件) と突出しているが、大阪府で1件発生し、30件(同20件、同10件)となった。以下、北海道20件、静岡県15件、兵庫県14件、愛知県13件の順で、10件以上は6都道府県。

【業種別】 ~ 最多は飲食業49件、宿泊業・アパレル関連が40件で並ぶ ~

 業種別は、緊急事態宣言の発令で来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が49件で最多。次いで、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業と、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が40件と並んだ。

【負債額】

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した244件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で101件(構成比41.3%)。次いで、1千万円以上5千万円未満51件(同20.9%)、5千万円以上1億円未満が34件(同13.9%)、10億円以上が33件(同13.5%)、5億円以上10億円未満が25件(同10.2%)の順。
 負債1億円未満が85件(同34.8%)を占めるが、100億円以上の大型倒産も3件発生。小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の経営破たんが広がっている。

【形態別】

 「新型コロナ」関連で倒産した244社の形態別では、破産が201件(構成比82.3%)で最多。次いで、民事再生法が29件(同11.8%)、取引停止処分14件(同5.7%)だった。 「新型コロナ」関連の倒産では、8割以上が消滅型の破産を選択している。
 再建型の民事再生法は約1割にとどまり、新型コロナによる影響が企業体力を奪い、経営者の再建意欲を削いでいるようだ。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図0706

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ